【CJC=東京】イエス・キリストの生誕を祝うクリスマス、生誕の地とされるヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ベツレヘムは、イスラエルがテロ防止を目的に建設した分離壁などで孤立化を深めている中、聖誕教会敷地内にある聖カテリナ教会では12月24日深夜から25日未明にかけて、雨の中を恒例の深夜ミサが行われた。
自治政府のマフムード・アッバス議長が2005年1月の議長就任以後、初めてミサに出席した。イスラム教徒の同議長は聖地ベツレヘムの守護者の立場としての出席。自治政府前議長の故ヤセル・アラファト氏は1995年から2000年まで参加、アッバス議長は就任直前の昨年も出席している。議長はミサの前に
クリスマスのメッセージを発表し、分離壁を批判しながら「この苦くて痛みのある現実のなかで、イスラエルの隣人たちに平和を呼びかけたい」と語った。
ガザ地区からのイスラエル撤退など緊張緩和もあってか、ベツレヘムには3万人の巡礼が訪れた。米国の同時多発テロ事件以来のこと。巡礼は、聖誕教会前の前の「まぐさ桶」広場には24日から多数が詰め掛け、楽団やバグパイプ奏者、ボーイスカウトなどの行進を見守った。夜には街中に電飾が施され、ミサが始まると巡礼たちは教会を見つめ、 聞こえて来る讃美の声に耳を傾けていた。
パレスチナ人のサバハ・エルサレム総大司教は、ベツレヘムとエルサレムを分断するイスラエルの分離壁について「私たちを監獄に押し込めている」と批判した。□