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第9回世界教会協議会大会がブラジルで開催

 【CJC=東京】世界教会協議会(WCC)第9回大会が2月14日ブラジル南部のポルトアレグレで開催され、約4000人が参加した。7年に1回開かれる大会、会期は23日まで。今回大会では女性の比重が高まり、参加者の45%にまで達した。
 イスラム原理主義組織ハマスがパレスチナ評議会(国会に相当)選で第1党となったことや、イスラム教の開祖ムハンマドを風刺する漫画がデンマークの新聞に掲載されたのを機に、イスラム教徒の反発が高まるなど、宗教間の緊張が高まる中での開催となった。
 サミュエル・コビア総幹事は、大会でもこの問題を取り上げるとしたものの、危機を終わらせるには、敬意というものへの国際的な協約が必要だ、と指摘した。
 同総幹事は基調報告で、今後は異教徒間の対話を主要な課題とする、と述べた。また気候変動が人類の最大脅威の一つであるとし、加盟各教会に、この問題に政治指導者が取り組むよう、一致して働き掛けるよう訴えた。「原爆が生命について私たちの考えを一変させたように、気候大変動は生命を危うくする」と言う。
 議長のカトリコス・アラム一世(アルメニア使徒教会)は、経済や技術のグローバリぜーションは人々の距離を近づけたものの、キリスト教会に新たな挑戦だ。世界変革へたゆまぬ努力が積み重ねられてきた。政治的、宗教的、経済的、思想的、技術的な試みはすべて失敗した。キリスト者として私たちは神の愛だけが人間と創造を可能にし、変革出来ることを信じる、と語った。
 コビア総幹事は、世界でペンテコステ派、カリスマ派が急成長していることに注目すべきだ、と兼ねて指摘してきた。これら両派はWCCに加盟していない。
 ローマ・カトリック教会は加盟していないものの、教皇ベネディクト十六世は、キリスト教一致へ向けて協力を継続する意向を示すメッセージを送り、オブザーバーとしてバチカン(ローマ教皇庁)キリスト教一致推進評議会議長のヴァルター・カスパー枢機卿を団長とする代表団を派遣した。
 今回大会から、決議は多数決から一致方式に変更された。これは正教会のWCC加盟留保問題に端を発した、意思決定への不満解消策として採られたもの。これまで正教会指導者の間に、少数派であるため意向が無視されるとの不満が強まっていた。
 WCC大会は1948年のアムステルダム以後、次の各都市で開催されている。
 エバンストン(米=1954)、ニューデリー(1961)、ウプサラ(スウェーデン=1968)、ナイロビ(ケニア=1975)、バンクーバー(カナダ=1983)、キャンベラ(豪=1991)、ハラレ(ジンバブエ=1998)。□

 (注)日本キリスト教協議会(NCC)によると、日本からは、山本俊正(NCC総幹事)、上田博子(日本基督教団宣教部幹事)、大宮博(日本基督教団世界宣教協力委員会委員長)、西原廉太(日本聖公会エキュメニズム委員会)、朴寿吉(在日大韓基督教会総幹事)、渡部信(日本聖書協会総主事)が参加している。

KIRISUTO.INFOホーム教界ニュースホーム Last Update : 2006-02-21T01:44:08+09:00