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WCC大会、カトリックやペンテコステ派との関係強化図る

 【ポルトアレグレ(ブラジル)=ENI・CJC】世界教会協議会(WCC)は7年に一度開く大会の第9回をブラジル南部のポルトアレグレで2月14日から23日まで開催した。最終日に採択された活動方針は、未加盟のローマ・カトリック教会、ペンテコステ派、福音派諸教会との関係強化を意識したものとなった。
 「教会の目に見える一致への探究がWCCの核心だ。私たちの究極のビジョンは、私たちが、神の恵みにより、キリストの教会の目に見える統一を達成することであり、主の食卓で互いを歓迎し、それぞれの聖職の務めを認め、世界の和解に全力を尽くせることである」と活動方針は述べている。
 ラテンアメリカ(中南米)初の開催であったことを受けて、大会では、「不正、不当、不道徳」として地域の債務負担軽減を呼び掛けた。国連統計によると、ラテンアメリカ住民の4割が極貧状況にある。
 今回、中央委議長に選出されたワルター・アルトマン氏はブラジル、サミュエル・コビア総幹事はケニア、とWCC指導部は第三世界出身者で固められており、大会参加者は、WCCがグローバル化と経済的不公平に関する今後の議論で、南半球の声を明確に代弁することになる、と見ている。
 中には、グローバリゼーションが経済関係だけではなく、キリスト教一致を促進するWCCの活動にも影響を与えていることを指摘する向きもある。「このグローバリゼーションの時代に、それは夢であるだけではない。それは義務であり、必然だ」と、アナスタシオス新議長(ギリシャ正教会=アルバニア自立正教会大主教)は語った。
 今大会は、カトリック教会の教義の擁護者ヨーゼフ・ラッツィンガー枢機卿が教皇ベネディクト十六世として着座以来最初の大会。カトリック教会はWCCに加盟していないが、多くの分野で協力関係にあり、大会に宛てたメッセージで教皇は、WCCとの「堅固なパートナーシップ」の必要性について言及した。
 参加者の中には、選出後に教皇がキリスト教一致達成への「具体的な手段」の必要性について語ったことを想起する人もいる。オブザーバーとして参加したバチカン(ローマ教皇庁)キリスト教一致推進評議会議長のヴァルター・カスパー枢機卿は、イースター(復活祭)を同日に祝うこと、相互に洗礼を認めることなどが挙げられると言う。それは議長を退任したアルメニア使徒教会のカトリコス・アラム一世の見解に沿ったものだ。WCC大会は、次大会までにこれらの問題で「具体的進展」を期待する、と述べている。
 問題は、ただ教皇ベネディクト十六世自身にある。それは教理省長官当時、プロテスタント諸派は、言葉の「厳密な意味」では教会ではないとした声明を発表していること。
 独ルーテル教会のマルゴット・ケスマン監督は「言葉の完全な意味で相互に教会として認められないなら、さらなる一致を世界の人々に呼び掛けることは非常に困難」と指摘する。
 この懸念は、急成長を見せているペンテコステ派の代表も示している。その多くはWCCに加盟していない。「無条件で、また教会を一流と二流に分けずに相互に受け入れる必要がある」と、アルゼンチンのペンテコステ派ノルベルト・サラッコ牧師は言う。
 大会前にWCC指導者は、諸宗教間対話の重要性を強調していたが、それはイスラム教預言者ムハンマドを風刺した漫画をめぐり世界的な抗議と暴力が起きて裏付けられることになった。
 大会は、暴力的抗議活動とともに漫画刊行を遺憾とし、加盟教会に、それらの宗教への攻撃に対し非暴力抗議に加わるよう呼びかけた。「ムハンマドの漫画掲載に関し、キリスト者とイスラム教徒の間の対話と協力を強化することが重要」と大会は指摘した。
 一方で、中東やパキスタンなどの小さなキリスト者共同体の苦況と勇気を認識するように、と英国国教会の最高指導者ローワン・ウィリアムス大主教(カンタベリー)が発言した。「西欧や国際会議の居心地の良さの中にあるような“対話”の状況ではない。非常に危険で複雑な環境で、信頼を築き、また築き直すという苦難な業だ」と言う。
 大会は、WCCの「暴力克服の10年」運動の中間点で開催されたことから、ノーベル平和賞受賞者のデズモンド・ツツ大主教とアドルフォ・ペレス・エスキベル氏が主導し1000人強が参加してポルトアレグレ市街を行進した。
 「ベルリン行進でベルリンの壁は取り壊された。南ア行進でアパルトヘイトは終わった。今、私たちはポルトアレグレを行進する。そして、暴力は終わるだろう」とツツ氏は語った。□

KIRISUTO.INFOホーム教界ニュースホーム Last Update : 2006-03-06T23:09:04+09:00