【ビーレフェルト(独)=ENI・CJC】「男女包括用語による聖書」計画がドイツで発表された。女性、ユダヤ人、疎外された集団などを正当に扱うという。「ドイツ語聖書はホロコースト(ナチスによるユダヤ人大虐殺)の経験から、人種や民族差別に敏感でなければならない」と新計画のスポンサー、ルイス・メツラー氏が語った。
新聖書は10月発行の予定。作業には翻訳者52人が参加、ヘブル語、ギリシャ語聖書からの訳出に当たっているが、「男女包括用語」を使用している。翻訳には暴力的な言葉は意味の弱いものを採用、またフェミニスト神学や解放の神学の見解を考慮したという。「弟子」、「使徒」などの用語も性的差別のないものにしている。
しかしこの計画には、聖書のメッセージ(使信)を歪めると批判が早くも出ている。フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥンク紙は『フォン・カンスタイン聖書協会』のアンドレアス・リンデマン会長が、女性のパリサイ人がいる、と批判したと報じてた。暴力的な言葉を弱い調子のものに変えていることへの批判も出ている。
メツラー氏は「担当者は旧新約聖書の中にあるものを翻訳している。戦争、暴力、虐待の物話について訳す場合、必要な言葉は使う。しかし、そうでない場合に、軍事用語や暴力的な言葉を使いたいとは思わない」と語った。
新聖書が発売されると批判が出ると予想しており、対立を恐れないとして「新しい翻訳はいつも神の言葉の新しい理解を求めて苦労する」と述べている。