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中国公認カトリック教会が新司教任命=バチカンの反対押し切る?

 【CJC=東京】中国政府公認のカトリック教会『天主教愛国会』が4月30日、雲南省昆明教区司教に馬英林神父(40)を任命した。バチカン(ローマ教皇庁)は同神父が「愛国会指導層に密着しており、聖職者としての経験も足りない」として任命延期を要請していた。中国政府の直接管理下にない香港教区も29日、叙階式典を行わないよう昆明教区に連絡したものの愛国会が強行した。
 バチカンと断交状態が続いている中国では、愛国会が独自に司教を任命してきた。ただ教皇ベネディクト十六世の就任以来、両国の復交に向けた動きが急速に進み、4月に就任した蘇州司教など、双方の承認する例が続いていた。
 今回の措置は、中国政府の意向を受けて愛国会が実施したと見られるが、バチカン系のアジア・ニュースは「これは事実上、愛国会が北京政府と教皇庁の間の関係改善を阻害しようとした」こと、と指摘している。
 愛国会のリュウ・バイニアン副議長は、関係改善へのカギはバチカン側にあると言い、今回の措置が実際的なテストだ、として「バチカンが馬英林神父の叙階に反対するなら、両国の関係改善に影響するだろう」と香港のテレビ局ATVの電話インタビューに語った。さらに中国とバチカン復交が実現するまでも公認教会は信徒のために活動している、と香港放送に述べている。
 香港教区が発表した声明では、ジョセフ・ゼン・ゼキウン(陳日君)枢機卿が「聖座(教皇庁)の承認なしで叙階を執行するよう聖職者に圧力をかけることは、中国とバチカンの交渉を故意に妨害している」と信じていると指摘、中国の指導者にそのような「乱暴な行為」を止めるよう要請したと言う。
 共産党政権が成立した中国は1951年にバチカンとの外交関係を断絶した。カトリック教徒は愛国会によって運営された教会でだけ礼拝することを認められたが、多数はバチカンに忠誠を示す地下教会に属した。そしてさまざまな抑圧を受け、強制労働収容所に拘束された人も出ている。
 バチカンと中国復交の障害は、台湾問題と司教任命権。台湾政府の承認取り消しは、すでにバチカンの意向は決まっているとされ、司教についても、複数の候補をバチカンが提示、その中から中国政府が同意した人を任命する方向で決着が図られていたという。
 アジア・ニュースのベルナルド・セルヴェレラ神父は「外交関係について中国政府とバチカン双方が愛国会を入れずに交渉したいと考えている」とし、それに愛国会、特にリュウ・バイニアン副会長が反発して今回の馬神父の司教叙階を決行した、と見ている。馬神父自身も叙階に消極的だったとの報道もある。

KIRISUTO.INFOホーム教界ニュースホーム Last Update : 2006-05-02T02:06:33+09:00