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教会から遠ざかっていても信仰心はある、と米国の調査

 【CJC=東京】米合同メソジスト教会が、信仰心はあるものの、教会からは遠ざかっている人たちが求めているものは何かを調査したところ、「教会につながっている人」との差が予想より少ないことがわかった。
 同派ディサイプルシップ部会とコミュニケーション部門が、21〜40歳と41〜60歳のグループに分け、それぞれのニーズ、好み、動機、行動を理解するため共同研究を行ったもの。
 「教会につながっている人も、教会から離れている人も、“つながり”を求め、人生に欠けたものがあると感じ、“より高い力”と向き合うことを望み、人生を意義と目的のあるものにしたい、と考えている点では同じだ。私たちは両者の間に大きな違いがあるように信じがちだが、実際にはそれほど大きくない」と、調査を担当したダン・ディック牧師は言う。
 調査は、霊的にオープンで受容的、主流プロテスタント各派に強い反感を持たず、自らの人生に何かが欠けているもと感じ、より深い意義や目的を求める人々に焦点を当てた。
 ディサイプルシップ部会の主な関心は、教会との関係を持たない人の霊的状況にあった。コミュニケーション部門は「オープン・ハート、オープン・マインド、オープン・ドアーズ」と名付けた伝道キャンペーンの継続のための情報を得ようと考えていた。合同メソジスト教会がどう受け入れられているか、2000年に調査したが、翌年9月11日の同時多発テロ事件以後、求道者の傾向に変化があったかを調べるため2004年にも調査を行っている。
 「聞く耳を持つ人々のために=教会の外の声」と題された調査の実務は『バーナ調査社』と『ハリス・インタラクティブ』が行った。
 人々に救いを伝えようというキリストの意思に応えるのに必要な情報を教会が見逃していることを、調査は明らかにした、とディック牧師は指摘する。「教会から離れている人々に関する私たちの“知識”の多くは仮定と不十分な情報に基づいたものだ。各教派の指導者は、教会の外にいる人々から学ぶべきことは何もないと主張するが、教会の外の見方、コメント、批評には、私たちが耳を傾けさえするなら、大きな価値がある」と言う。
 ディック牧師は、21世紀以前には「教会につながった」とか「教会から離れている」といった言葉は、教会の礼拝やミサに行くか行かないかについて説明するためのものだったと言う。「シーカー(探求者)」という言葉も近年普及してきた。「霊的な探求者」という用語が調査で標準的に採用されるようになったのは、伝統的な教会から離れている人を調査対象にする場合、関係者が「宗教的」より「霊的」を選ぶため。
 3月にバーナ・リサーチ社が発表した関連調査でも、「教会生活をしていないことがキリスト教信仰と無関係であることを示さない」が判明している。その調査では、キリスト者であると自覚しながら「教会から離れている」成人の77%は、キリスト教信仰を完全にか適度に保持している、と回答した。
 積極的な探求者は「信じていること、欲していること、考えていることについて明確に語る」と、ディック牧師は言う。霊的探求者は、博識で、聖書も勉強し、神学的なことにもくわしい点では教会熱心な人と変わらず、むしろ上回っていることも多い、と付け加えた。
 探求者は何を求めているのか。キリストにおける生命の「深い所」を探れる完全な没入経験、人々の生命に具体的な違いを作れること、愛し仕え助けること、などであることが分かった。
 ディック牧師は「探求者は自身の最も厳しい評論家だ。彼らはより良くありたいと欲しており、継続的向上や学習に熱心で、彼らに挑んで来る人と接して、進行中の霊的向上を助長したいと考えている」と言う。
 調査では、21〜40歳グループと41〜60歳グループの双方が、意義、目的、受容、尊敬、違いを作り出す機会、未来への望みなどを求めていることが分かった。21〜40歳グループは、現状打破、探索、リスクを冒すといったことを高く評価し、あるがままの自分が受け入れられることを欲している。41〜60歳グループは、調和、物事がその通りに行くことへの理解、人生、安らぎ、セキュリティ問題などを重視している。
 教会に出るか否かに関係なく、信仰問題が非常に重要であり、教会に行かない人の中にも熱心なキリスト者がおり、それは教会が求めすぎるからではなく、求めることが少なすぎるからだということも分かった、とデイック牧師。「教会から離れている人たちの多くが霊的な問題に積極的であることがわかって、合同メソジスト教会の指導者たちは驚いている」と言う。
 調査の結果、教会に行かない理由として上がったのは、教会がきらいだったり、教会のあり方に合わない、教会へ行く意義や動機がない、教会が意味のあることを提供しない、など。
 「これらの人々の多くが、自分をキリスト者であるとそれでも考えており、私たちが理解を深めたいと考える人たちだ」と、ディック牧師は指摘している。

KIRISUTO.INFOホーム教界ニュースホーム Last Update : 2006-05-09T03:01:22+09:00