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話題先行して映画「ダ・ヴィンチ・コード」公開

 米映画「ダ・ヴィンチ・コード」の公開が各地で始まった。米作家ダン・ブラウンの同名小説が原作で、問題となっているのは、イエス・キリストがマグダラのマリアと結ばれ子孫をもうけたことを、教会が隠してきたという内容。
 バチカン(ローマ教皇庁)文化評議会議長のポール・プーパール枢機卿は「作品が注目される背景には宗教的な無知があり、多くの人々が真実と誤解する恐れがある」と、懸念を表明した。
 作品の中で、真実を隠し続けてきた組織として描かれているカトリック教会属人区「オプス・デイ」は、「この映画はフィクション」という、ただし書きを付けるよう製作会社に要求していた。ロン・ハワード監督は「ただし書きから始まるスリラー映画はない」と、拒否の構え。
 日本では5月20日午前、全国の映画館で公開が始まった。配給会社によると、上映は計863スクリーンの予定で、国内では過去最大の公開規模。
 米国では19日、3700以上の映画館でも一斉に公開された。キリスト教保守派などのボイコット訴えをよそに、前売り券が順調な売り上げを示すなど関心は高く、「取りあえず見てみよう」という人の動員は成功したようだ。
 カトリック系団体「ヒューマンライフ・インターナショナル」のアイテナウア代表は映画に抗議し、関連会社が映画を配給しているソニーの全製品の不買運動を映画公開に合わせ19日から始めることを明らかにした。「世界のカトリック信者10億人規模のボイコットにしたい」と意気込んでいる。
 米映画関係者の間では「抗議運動は作品の話題作りになる」との見方もある。公開された週の国内興行収入は1億ドル(約110億円)以上と予想され、過去最高の「スパイダーマン」(1億1500万ドル)を超えるかに関心が集まっている。
 韓国ではキリスト教総連合会が、ソウル地裁に上映禁止の仮処分を申請。地裁は訴えを棄却したが、同連合会は信者らに映画のボイコットを呼びかけた。
 カトリック教徒が国民の8割を占めるフィリピンでは16日、「事実と虚構を区別する必要がある」として成人向け映画(R18)に指定された。最大の映画館チェーン「SMシネマズ」では、R18指定の映画は上映されないが、多くの人が海賊版DVDで映画を見る、との指摘もある。
 フィリピン・カトリック司教協議会は「映画に惑わされず、揺るぎない信仰を持つように」との声明を発表した。
 中国では映画のノーカット上映が認められたが、公認カトリック教会「天主教愛国会」は信者に映画ボイコッを呼びかけた。「映画の内容はカトリックの教えに反する」としている。
 インドではキリスト教の異なる派が一致し、上映禁止に動いた。ムンバイのカトリック系団体代表は2日間ハンガーストライキを実施した。カトリック司教協議会は「上映時に『作り話』であることを示すべきだ」と求めた。政府は18日、18歳以上を対象にしたノーカット上映を決めた際に、この要望を受け入れることにした。
 仏教国タイでも、キリスト教徒らが映画に反発。政府の映画検閲委員会が最後のシーンの10分間を削除する決定を下したが、ソニー・ピクチャーズエンタテインメント傘下のコロンビア・ピクチャーズが異議を申し立て、ノーカット上映となった。
 ロシアなど旧ソ連のキリスト教圏では一斉に上映反対の抗議行動が起きた。
 モスクワ中心部の映画館前では、ロシア正教徒約100人が抗議集会を開き、映画のポスターを燃やして鑑賞しないよう呼び掛けた。正教会のモスクワ総主教は「福音の歴史を侮辱し、ゆがめた映画の公開は遺憾」とする声明を出した。
 ベラルーシの首都ミンスクのカトリック教会司祭は上映反対のハンストを開始。ウクライナ、グルジアやアルメニアでも抗議デモが行われた。
 ギリシャでは司法当局が上映禁止を求めていた信者の訴えを棄却した。
 ブルガリア正教会も信者にボイコットを呼びかけていた。
 中南米では、大きな抗議の声は上がっていないが、ベネズエラ教会は、信者に抗議やボイコットは求めないとしたうえで、「信仰と教義と教会に対する攻撃である」と非難する声明を発している。
 米カトリック系団体「ヒューマンライフ・インターナショナル」のアイテナウア代表は映画に抗議し、関連会社が映画を配給しているソニーの全製品の不買運動を映画公開に合わせ19日から始めることを明らかにした。
 同団体では「世界のカトリック信者10億人規模のボイコットにしたい」と意気込んでいる。
 米映画関係者の間では「抗議運動は作品の話題作りになる」との見方もある。公開された週の国内興行収入は1億ドル(約110億円)以上と予想され、過去最高の「スパイダーマン」(1億1500万ドル)を超えるかが関心だ。
 イスラム教の開祖ムハンマドを風刺したイラストを巡って、世界中に抗議運動が起こり、殺傷事件にまで至ったこととの類似を指摘する声もあるが、現在のところはボイコット呼び掛けと、教会や指導者の非難に止まっている。(世界キリスト教情報)

KIRISUTO.INFOホーム教界ニュースホーム Last Update : 2006-05-23T01:56:53+09:00