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教皇、アウシュビッツで『神への心からの訴え』だけ、と語る

 【CJC=東京】教皇ベネディクト十六世(79)が5月25日、前教皇ヨハネ・パウロ二世の母国ポーランドを訪問した。
 教皇はワルシャワ空港でレフ・カチンスキ大統領らの出迎えを受け、ポーランド語で「前教皇ヨハネ・パウロ二世の足跡をたどりに来た」と述べた。
 26日雨の中、教皇はワルシャワの広場で27万人を前にミサを行った。教皇は、説教で、道徳上絶対的なものはないとの考え方に反対、伝統的な教会の価値観を強調した。ミサが終わったときには太陽の光が差し、教皇は群衆の間を歩いて祝福を与えた。
 その後、南部の古都クラクフの大司教公邸にある「教皇の窓」に立ち、「親愛なる兄弟たちよ。温かく迎えてくれてありがとう」と信者らに語りかけ、歓迎を受けた。
 27日、教皇はクラクフ近郊にある前教皇の生誕地バドビツェを訪問、現在博物館となっている前教皇の元自宅を訪れ、少年時代の前教皇の写真などを見学した。
 教皇は28日、アウシュビッツ(現オシフィエンチム)強制収容所跡地を訪問した。歴代教皇では、79年の前教皇ヨハネ・パウロ二世に続き2人目。現教皇はドイツ人だけに注目を集めていた。
 教皇は「労働は人を自由にする」とドイツ語で書かれた同収容所の鉄門前で車を止め、1人で歩いて門をくぐった。
 教皇は「この恐怖の場所、神と人とに対して未曾有の大虐殺が行われたここで、語ることは出来ない。ことに、1人のキリスト者として、ドイツから来た1人の教皇としては特に難しい。このような場所では言葉はない。恐れの沈黙、それ自体が『神よ、あなたはなぜ沈黙されたのですか。これらを全て許されたのですか』という神への心からの訴えしかない。」と語った。
 バチカンのナバロ=バルス報道担当は27日の会見で「アウシュビッツ訪問は当初の計画に入っていなかったが、教皇本人が『私は行きたい。行かないわけにはゆかない』と繰り返していた」ことを明らかにした。
 強制収容所訪問の後に、教皇はクラクフのバリチェ空港に向かい、歓送式典に望んだ。式典にはカチンスキー大統領が出席した。
 教皇は就任から1年、これまでイタリア南部とドイツ・ケルンでのカトリック世界青年大会に出席しただけで、今回が初の本格的な外遊となる。7月にはスペイン、9月にはドイツ、11月にはトルコを相次いで訪れる計画。□

KIRISUTO.INFOホーム教界ニュースホーム Last Update : 2006-05-30T03:05:56+09:00