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ブラザー・ロジェのカトリック改宗説をテゼ共同体は否定

 【ジュネーブ=ENI・CJC】(スティーブン・ブラウン記)仏東部ブルゴーニュ地方にある『テゼ共同体』はスイス生まれのプロテスタント、故ブラザー・ロジェ・シュッツが創設した独特の共同体として知られているが、このほど仏紙「ルモンド」が創設者のカトリック秘密改宗説を報じた。これに対し共同体側は後継者のブラザー・トマスが「この記事は、カトリック伝統主義者グループが発行する少部数のニュースレターの主張を信用出来るとして再報道したもので、ブラザー・ロジェの本意を誤り伝え、彼の記憶を中傷するものだ」と、改宗を否定している。
 ルモンド紙は、ブラザー・ロジェがカトリックになったことの確認をカトリック歴史学者イヴ・シロン氏がバチカン(ローマ教皇庁)から受けた、と報じたもの。ブルゴーニュ地方アータン教区の前司教が、シュッツが1972年にカトリック教会に受け入れられた、と語ったともルモンド紙は報じている。
 しかしテゼ共同体は、声明を発表、同紙報道を否定した。「この問題で“改宗”について語る人は皆ブラザー・ロジェの意図の独自性を理解していない。プロテスタントとしての背景から、ブラザー・ロジェは宗教改革以来、先例のないことを試みた」と言う。
 それは「プロテスタントである出自との断絶を意味する“改宗”をせずに、徐々にカトリック教会の完全聖餐関係に入ることだった。1972年、当時のアルマン・ルブルジョワ司教(オータン教区)は初めて聖体を与えたが、その際に、キリスト者全部が奉じる使徒信条を唱えること以外は要求しなかった。同席者も数人おり、これを証明できる。」と声明は述べている。
 ブラザー・ロジェは2005年8月に共同体で晩祷を行っている際に刺殺され90歳で死去した。葬儀はバチカンのキリスト教一致推進評議会議長のワルター・カスパー枢機卿が司式した。その数カ月前、教皇ヨハネ・パウロ二世の葬儀でブラザーはヨーゼフ・ラッツィンガー枢機卿(現教皇)から聖体を受けている。この聖体は通常ではカトリック信者でなければ受けられない。
 共同体側は、ブラザーが1980年にローマで「私は、誰との交わりを損なうことなしに、自分の出自としての信仰とカトリック信仰の秘儀とを自身の中で調和させることで、キリスト者としての自分自身を見出した」と語っていることを引用、「隠し立てしているものは何もない」と述べている。

KIRISUTO.INFOホーム教界ニュースホーム Last Update : 2006-09-12T02:06:28+09:00