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教皇ドイツ訪問中の発言にイスラム圏が反発

 【CJC=東京】教皇ベネディクト十六世が母国ドイツを訪問中の9月12日、南部のレーゲンスブルク大学で講義を行った際、イスラム教の聖戦(ジハード)について批判的と取られる発言をしたことで、イスラム諸国に反発が広がった。欧米の一部にはイスラムの教義そのものに暴力の原因を求める議論があり、イスラム教徒の神経を逆なでしてきた経緯の上のものとも見られる。今年初めにはイスラム教の預言者ムハンマドの風刺画が欧州の新聞に掲載され、イスラム諸国で暴動が起きている。
 イスラム諸国会議機構(OIC)は14日、「偉大なる預言者ムハマンドに関する発言を教皇が引用したのは残念だ」などとする声明を発表。エジプトに拠点を置くイスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」は、「教皇の発言は火に油を注ぎ、イスラム世界に対する怒りを呼び起こす。政治家も聖職者も一緒になって、西洋がイスラム教を敵視していることを示している」と指摘した。
 パキスタン議会は15日、「教皇の侮辱的な発言はイスラム世界の感情を傷つけた」として、発言の撤回と謝罪を求める決議を全会一致で採択した。
 ヨルダンでは、サラハ・イスラム相が声明で「イスラムを中傷するもの」として、教皇庁に対し、発言を「即時に」改めるよう要求した。
 エジプトのスルール人民議会議長は、教皇発言は「イスラム教に対する無知を露呈した」と指摘した。
 サウジアラビアなど湾岸6か国で構成する「湾岸協力会議」(GCC)も「イスラムが愛と平和を訴えてきた歴史的真実を歪曲した」と非難した。
 モロッコ外務省は16日、同国の駐バチカン大使を本国に召還。サウジアラビアのサウド外相も16日、抗議文を教皇庁に送った。
 イランの保守系紙ジョムフリは17日、教皇の発言はイスラムと米国に指図された兆候があると報じた。教皇がイスラム教について無知とは信じられないことから、発言はイスラエルと米国が記して(教皇に)提出したものとだいうことになると主張、その根拠として、両国は、イスラム教シーア派武装組織ヒズボラの対イスラエル戦争の勝利を傷つけたいためだと指摘した。
 また最高指導者ハメネイ師が指名した編集長が運営するケイハン紙は、イスラム教とキリスト教の信徒の対立を煽るため、少数者であるシオニスト(イスラエル人)が仕組んだ兆候が幾つもあると報じている。□

キリスト教界検索キリスト教界ニュース Last Update : 2006-09-19T01:33:58+09:00