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教皇、故郷ドイツ・バイエルン訪問終える

 【CJC=東京】教皇ベネディクト十六世は、9月9日から14日まで故郷ドイツ・バイエルン地方を「司牧訪問」した。
 教皇は訪問2日目の10日、ミュンヘンの新見本市会場「ノイエ・メッセ」でミサを行った。会場には、ドイツ国内だけでなくオーストリア、ポーランド、スイス、チェコなど近隣国から25万人の信者らが詰め掛けた。
 説教の中で教皇は、この日の福音朗読箇所、イエスが耳が聞こえず舌が回らない人を癒すエピソード(マルコ7・31〜37)を取り上げ、もはや神に耳を傾けることができない今日の人間、冷笑主義に陥り神を侮蔑する危険にある西洋世界に警告を発した。
 教皇は11日、「黒い聖母」巡礼地アルトエッティングを訪問した。教皇はアルトエッティングを含むパッサウ教区の出身。「ここが故郷であることはもとより、聖母のそばにいるということで本当に我が家に帰ったような気がする」と教皇は語った。同日夕、教皇は出生地マルクトル・アム・インを訪問した。
 教皇は12日、神学教授時代を過ごしたレーゲンスブルグを訪問、ミサを行なった。ミサには30万人の信者が参加した。教皇は説教で、憎悪や狂信主義のために神のイメージを破壊する現代の傾向に憂慮、愛である神、人間の顔を持った神を観想するよう呼び掛けた。
 午後から教皇はかつて教鞭をとったレーゲンスブルグ大学を訪問、学者・研究者たちに講義を行った。
 教皇は「(預言者)ムハンマドがもたらしたのは邪悪と残酷さだけだ」とする中世ビザンチン帝国(東ローマ帝国)のマヌエル二世パレオロゴス皇帝の言葉を引用、「皇帝とペルシャ人が1391年に交わした対話に関する書籍を読んだ。皇帝は対話の中でジハード(聖戦)について言及した。宗教と暴力の関係について皇帝は『ムハンマドが新しくもたらしたものを私に見せよ。邪悪と残酷さであり、彼が教えた信条を剣で広めたということだ』と語った。皇帝はさらに、暴力は神の本質に反するものであるとして『神は血を喜ばないし、非理性的な行動は神の本質に反する。誰かに信条を伝えようとする者は暴力や脅威を使わずに、的確に理を説かなければならない。理を説くには武器は必要ない』と述べている。今回の講義は他宗教への批判ではない。理性という概念を考えるためのものだ。そうすることで今、必要とされている宗教間の真の対話をすることが可能になる」と講義した。
 教皇は訪問最終日の14日、ミュンヘン北東にある人口4万5千人の町フライジングの大聖堂で司祭と助祭らと会見した。教皇は1951年6月29日、この大聖堂で司祭に叙階され、後、教区大神学校で教鞭をとっている。
 今回訪問のモットーに「信じる者は決して独りではない」を掲げた教皇は、私たちはキリストの友であるがゆえに独りではなく、また、司祭も独りではなく司教や他の司祭たちと一致する者であると述べた。
 フライジングから教皇はミュンヘンへ向かい、空港では送別式典が行われた。空港では、シュトイバー・バイエルン州首相や教会関係者らが教皇を見送った。教皇は同日午後ローマに到着、カステルガンドルフォの離宮に入った。□

キリスト教界検索キリスト教界ニュース Last Update : 2006-09-19T01:37:12+09:00