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歌劇「預言者の首」、独当局警告で公演中止に

 【CJC=東京】ベルリンのドイツ歌劇場は9月26日、11月に4回予定していたモーツァルトの歌劇「イドメネオ」の公演中止を発表した。劇中でイスラム教の預言者ムハンマドらの切断された首が出てくる場面について、治安当局が、イスラム過激派などを刺激し、劇場に危険が及ぶ」と警告したが、演出側は修正を拒否、劇場は公演を中止、「フィガロの結婚」などに切り替えた。
 首が出てくる場面は、ドイツ人のハンス・ノイエンフェルス氏(65)の独自の演出では、ムハンマドとキリスト、ブッダの首が並ぶ。2003年初演の際にも批判を集めた。最後の上演は04年3月。
 責任者のクリステン・ハルムス氏は、中止の理由について、「人間の命と芸術的自由の問題を共に考えた結果。非常に残念だ」としている。
 欧州の新聞が今年初め、ムハンマドの風刺画を掲載したことにイスラム諸国が反発、抗議行動が拡大したことや教皇ベネディクト十六世もジハード(聖戦)を非難する発言をしたとして、イスラム諸国の批判を受けている。
 上演中止については、ドイツ政界の一部から、テロに屈したことになるなどの反発が出ている。メルケル首相は27日「自粛が根本的な問題解決ではない」と語り、オペラ側の中止決定を批判した。
 ドイツのイスラム系組織内では中止を評価する見方と、表現の自由を認めるべきだなどの声が出ている。ベルリンで27日に行われたイスラム教指導者と独政府との対話集会でも取り上げられ、多くのイスラム教指導者が上演中止に「遺憾の意」を表明した。
 独テレビの27日の世論調査では、回答者約2600人の88%が「上演すべきだ」と答えた。□

キリスト教界検索キリスト教界ニュース Last Update : 2006-10-03T02:18:41+09:00