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戦闘のストレスと恐怖を従軍司祭は将兵と共有

 【CJC=東京】米軍の往くところ、従軍司祭(プロテスタントでは通常「従軍牧師」と呼ぶ)が随行する。カトリック通信CNSが現状を伝えているが、イラクやアフガニスタンから帰って来て、異口同音に言うのが「戦争は地獄だ」である。
 従軍司祭は、交戦地域ですべての将兵と同様に、殺されるかも知れないという恐怖にさらされる。砲撃にさらされるか、地雷に触れるか、対空兵器で殺害されるか、それはまちまちだが、とにかく死の恐怖から免れることはない。それでも、命をかけて戦っている将兵が平和を見つけるのを助けるのが仕事なのだ。
 「戦争では、神との平和を保たなけれならない。生きて帰るかどうか分からない」と、ニュージャージー州パタソン教区聖マイケル教会のジョセフ・オルランディ神父は、教区紙『ビーコン』に語った。米陸軍大佐として昨年従軍司祭の務めを果たしてきた。
 アフガニスタンのバグラム空軍基地とイラクのキャンプ・ビクトリーで、オルランディ神父は、戦闘の恐怖とストレスから信仰に頼らざるを得なくなることがわかった。アフガニスタン北部では、同神父は前線基地15カ所を訪問したが、そこでは軍服姿の男女が心の糧に飢えてミサにやって来た。
 宣教団体『コロンバス騎士団』に属している同神父はキャンプ・ビクトリーで「円卓会議」という小集団を組織、困難な任務に立ち向かっている将兵に霊的な弾薬を与えた。初めメンバー28人で設立された「円卓会議」は現在では毎月1回、ミサ、ロザリオ、親交、奉仕のために80人近くが集まるまでになった。最近では、イラク人の子どもにTシャツ、靴、スポーツ用品を贈っている。
 カンザス州トピーカ生まれのピーター・ハラミジョ神父はイラク駐在の陸軍少佐。キャンプ・ビクトリーの円卓会議に協力し、これまで何年も不活発な信徒だった8人を米国に復員後、教会に戻させた。しかし、従軍司祭として同神父は教派を問わず部隊の全将兵に奉仕する。それどころか「不可知論者や無神論者」もいる。
 同神父は正確な場所を明らかにしなかったが、バグダッド地区のかつてボートハウスだったところでミサを行っている。米国人たちは『フリーダム・チャペル』と呼んでいる。
 週末になると、司祭不足のため方々に出掛けて行く。司牧範囲は本国よりもはるかに広い。カトリック以外の従軍牧師は1基地だけを対象にしているが、同神父は基地6〜7カ所を回る。
ただ周辺の他の神父からの支援もあり、英軍の司祭などとも協力している。神父の司牧対象はほとんどが米国人だが、ウガンダ人やペルー人にミサをしたこともある。
 「主がなぜここ私を置いたのかますますはっきりして来た。死に瀕している人を慰め、弱っている人に助言し、死者を埋葬する……肉体的、霊的に慈悲を行ない今までに会った中で最も勇敢な軍人に対し信仰の模範となろうとしているのだ」と言う。
 マイケル・デュスターハウス神父(海軍予備役少佐)は、イラクでの駐在2年、最近、バージニア州アーリントン教区に戻ったが、ストレスとか「本当の非常時」の定義が変わってしまっていたことがわかった。人々がまったく重要でないものに興奮している、と教区紙『アーリントン・カトリック・ヘラルド』に語った。
 神父は25カ月もしなかった洗礼式と結婚式を司式したが、イラクでは数え切れないほどに葬儀を司式してきたのだ。「悲しいのは、それに慣れてしまうことだ」と言う。

キリスト教界検索キリスト教界ニュース Last Update : 2006-11-29T02:40:50+09:00