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伊カトリック教会は安楽死者への葬儀を拒否

 【CJC=東京】イタリアで進行性筋ジストロフィに悩んでいた作家ピエルジョルジオ・ウェルビー氏(60)はかねて生きることを止めたいと訴えていたが、医師が生命維持装置の電源を切り、1月20日夜死去した。
 同氏は青年期から筋ジストロフィーで寝たきりになり、目の動きだけで意思を示すだけになっていた。
 イタリアではカトリックが圧倒的なことから安楽死は違法とされているが、同氏は3カ月前、元首に死ぬことを認めてほしい、と訴えた。これが論議を招き、同氏支持の声が国外から寄せられていた。同氏の死後、ミナ夫人ら遺族は葬儀を願ったが、カトリック教会は受け入れなかった。教会側は、ウェルビー氏が生きるのを止める願望を繰り返し確言したことが容認できないとしている。
 安楽死反対派は、電源を抜いた医師は殺人を犯したと主張しているが、夫人は医師の決定を擁護した。
 非宗教葬儀が、家族が属していた教会(小教区)の外で23日行われた。夫人が葬儀執行を申し出た際、司祭は前向きだったが、教区から執行を差し止められたという。
 葬儀には約1000人が出席、中には「恥だ、恥だ、恥だ」と叫ぶ人もいた。
 葬儀が終わったころ、バチカンのサンピエトロ広場では、教皇ベネディクト十六世が、安楽死に関する教会の立場を「キリストの誕生は、人間の生命がいかに価値あるものであるか、1人1人の生命を、その最初から自然な終わりまで、理解する助けである」と巡礼や観光客に語った。

キリスト教界検索キリスト教界ニュース Last Update : 2006-12-29T17:29:06+09:00