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渦中のウイエルグス大司教、着座直前に辞任

 【CJC=東京】教皇ベネディクト十六世が12月6日、ワルシャワ大司教に選任したスタニスラフ・ウイエルグス氏(67)が1月7日、午前11時から大聖堂で行われる予定の着座式典直前に辞任した。
 同大司教について、12月20日、週刊紙『ガゼータ・ポルスカ』が、共産主義政権下の1990年1月までの22年間、秘密警察の「信頼された協力者」だったと報じたことから、国内に反発の声があがった。
 ポーランドのカトリック教会は、指導者ワルシャワ大主教のヨーゼフ・グレンプ枢機卿の反共的姿勢から、自由と人権の擁護者として市民の尊敬と信頼を得ていた。クラクフのカロル・ウォイチラ司教が教皇ヨハネ・パウロ二世として着座したことも、自由労組『連帯』の存在と共に、政権崩壊につながった、とも指摘されているほど。それだけに後継者が秘密警察の協力者だったとの情報は驚きをもって迎えられた。
 同氏は最初全面否定していたが、教会内外の調査の結果、事実であることが判明、70年代にミュンヘンでの研究を申請した際、秘密警察員との「日常的な会談」を条件として出されたが、教会や信徒を危険にさらしたことはない、と弁明を迫られた。
 同氏は7日「教会法に従って、教皇に辞任を申し出た」と述べた。教会法では、司教が「その職務を適切に行使出来ない場合、辞表提出を強く求められる」と規定されており、それによったもの、と教会は説明している。
 高齢を理由に大司教引退を受理されたヨーゼフ・グレンプ枢機卿が、後任の正式決定まで大司教の地位に止まることになった。グレンプ氏は、共産主義政権下の行動によってウイエルグス氏を厳しく断罪しないように、と述べている。多くの市民が当時は政権への協力を強制されており、聖職者の1割以上が秘密警察に協力していた、とも推定されている。□

キリスト教界検索キリスト教界ニュース Last Update : 2007-01-09T03:07:46+09:00