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テンプルトン財団がIDに押し出される

 【CJC=東京】「科学と宗教」の発展に貢献した人を表彰することを目的に設立されたテンプルトン財団だが、「それもこれまで」と、同然財団のパミラ・トンプソン広報担当副理事長は言う。米専門週刊誌『クリスチャン・センチュリー』が報じた。
 11月中旬に再構築された財団のウェブサイトの標語は「科学を支援し巨大な課題に投資する」に変えられている。
 トンプソン副理事長は「『科学と宗教』という言葉が、生命は、偉大な知性ある設計者なしに創造されるには余りに精妙なシステムだと主張する『インテリジェント・デザイン(ID=知的創造)を唱える人たちにハイジャックされたから」と語る。
 トンプソン氏は、表現をハイジャックされたからと言ってID派を非難してはいない。しかし財団が、ダーウィンの進化論に反対だとかIDや「創造科学」に好意的だと見られたくない、と言う。
 財団のイメージを再構築するという決定は、1年前の2005年11月14日のウォール・ストリート・ジャーナル紙の記事が、財団をIDに好意的と指摘したことが原因。ウェブサイトは同紙の指摘に詳しく反論を加えている。
 テンプルトン財団のチャールズ・ハーパー上席副理事長は昨年、賞金獲得教授の内2人はID関係以外のテーマを扱っていたが、他の2人は賞金獲得後にIDとの関係が明らかになった、と同紙に書簡を送っている。財団が「知的創造の立場とは全く意見を異にする」と言う。
 学者や大学が、神学と科学の境界に関し多数の講座、会議、研究プロジェクトを設定して来たが、テンプルトン財団は最大の支援者と言える。
 財団はテネッシー州生まれで英国に帰化した慈善家ジョン・テンプルトン氏(94)が創設したもので、2006年までに6000万ドル(約71億円)を賞金として出してきている。
 テンプルトン賞の正式名称は「霊的実在に関する研究と発見の進展のためのテンプルトン賞」。受賞者の多くが科学と宗教の双方に立脚する学者だ。ただ、テンプルトン財団が支援する会議は「科学と宗教の違いを取り繕い」、「抽象的な引き分け」に終わっている、と指摘する学者も多い、とニューヨーク・タイムズ紙も報じている。
 ただ次回は英オックスフォード大学の進化生物学者リチャード・ドーキンズ氏が受賞するとも伝えられている。同氏は無神論者でベストセラーになった「神の妄想」の著者であり、受賞が実現すればテンプルトン賞の変革を示すことにもなろう。

キリスト教界検索キリスト教界ニュース Last Update : 2007-01-17T00:49:20+09:00