ピエール神父(本名アンリ・アントワンヌ・グルエ)が1月22日、パリ市内の病院で死去、94歳。肺感染症のため14日から入院していた。
第二次大戦中はレジスタンスに参加、ユダヤ人をナチス・ドイツからスイスやアルジェリアに脱出させるのに貢献した。「ピエール神父」は当時の暗号名だった。自身も逮捕されたが脱出に成功している。戦後は国民議会(下院)議員を経て、ホームレスら貧しい人々を救済する活動組織「エマウスの家」を49年に設立。現在約42カ国に展開している。
フランスで国民的な敬愛を受け、92年にはレジョンドヌール勲章を受けている。好感度調査で長年1位を占めてきた。
カトリック教会の教義に反対したエヴルーのジャック・ガイヨー司教を支持したり、カトリックからイスラム教に改宗、ホロコースト(ナチによるユダヤ人虐殺)の存在を否定したロジェ・ガロディを擁護するなど常に論議の焦点でもあった。女性と性的関係にあったことを公表、同姓間の結合の認知に賛成していた。