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英「差別禁止法」でカトリック系養子縁組斡旋団体に危機

 【CJC=東京】英国ではこの4月からが施行される。同法は、公私かかわらず、有形、無形の財、施設利用、サービスの提供に関して、人種、性別、障害の有無、宗教や信仰、年齢、性的指向によっての差別を違法とするもの。すでに性別や人種による差別は違法とされているが、幅広い分野で差別の禁止が明文化されたのは初めて。
 同法が施行されると、養子縁組斡旋事業でも、性的指向を基にした差別が違法とされることになり、子どもを同性カップルと一緒に生活させることは信仰に反するとして行っていない7つのカトリック系養子縁組斡旋団体は、違法として訴えられる可能性が出てきた。
 カトリックの指導者ヨーク大司教のコーマック・マーフィー=オコナー枢機卿は「自らの良心に反する行為を強要されることは信教の自由を侵害するもので、差別である」として、同派系の斡旋機関に対し法律の適用除外を申請した。
 カトリック教会系の養子縁組斡旋団体は、英国内で年間200件、全縁組の約4%を扱う。取り扱い件数は多くないが、カトリック系斡旋団体は、養親を見つけることが難しいケースの約3分の1を取り扱っている。
 議員の間には、オコナー枢機卿の意見は、政府に対する「脅迫」に近いとの発言や、公共の福祉に携わる宗教的組織は段階的に「非宗教的」組織に変わってゆくべきだとの声も出ており、社会的弱者に対する福祉について、「法律に従うくらいなら活動を中止する」と脅迫するような組織に頼るリスクを負うことはできない」という議員もいる。
 これらの声を受けてか、トニー・ブレア首相はカトリック教徒養子縁組斡旋事業者への適用除外を拒否する一方、2月6日、非宗教関係事業者との提携を提案した。

キリスト教界検索キリスト教界ニュース Last Update : 2007-02-14T02:14:16+09:00