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カトリックと聖公会再一致への条件、年内に提示へ

 【CJC=東京】1534年に英国王ヘンリー八世の離婚願いが教皇に拒否されたのを機会に教皇の支配を脱し、英国王を首長として成立した英国国教会(聖公会)がカトリック教会と教皇の下で再一致出来るか。両派の代表によって構成された『一致と使命に関する国際アングリカン・ローマンカトリック委員会』(IARCCUM)がその可能性を検討した提案書「一致と使命における共なる成長=英国国教会とローマ・カトリックの40年の対話から」が、年内にも発表されることが2月20日明らかになった。
 提案書が、タンザニアのダルエスサレームで開かれた世界聖公会共同体指導者の会合で検討されたことから、その存在を英メディアが報じたもの。提案書は、対立の克服に向けた共通の基盤を確認し、聖職者の交流促進などが提言されるもの、と見られる。
 ただダルエスサレームの会議は、同性愛主教の任命と同性間の結合祝福などをめぐり世界聖公会共同体内部に浮上した対立と、さらに女性聖職の是非でも懸念される分裂を回避する狙いが討議の中心となっていた。そこで提案書についても検討したことが明らかになったことは問題の複雑さを表面化したとも見られる。
 IARCCUMのカトリック側共同議長ジョン・バサーズビー大司教(豪ブリスベーン)は「私たちの究極の願いは完全な目に見える一致を達成することであり、提案書は議論と反省を促すものだ」と指摘、一致への結論を出すものではない、と述べている。
 聖公会側の共同議長、南アのデヴィッド・ベートゲ主教は、一致は両教会の願いではあるが長期のビジョンであり、とても長い道程だ、と言う。
 カトリック教会は、教皇を最高権威とする聖職制度であり、聖公会はカンタベリー大主教を最高指導者とする一方で、各国聖公会は独立している。それで今回のダルエスサレーム会議のように相違を修復しようとする動きも必要となるが、このこと自体が再一致への障害とも言える。
 一致した場合、誰が最高指導者となるか、も問題だ。聖公会にはイエス・キリストしか教会の主になれない、という考えもある。
 バサーズビー大司教は、教皇が信徒10億人の指導者であり、聖公会共同体は8000万人程度であること、また昔から「全ての道はローマに通ず」とされていることからも、最高指導者が誰であるか、は自明のことと見ているようだ。

キリスト教界検索キリスト教界ニュース Last Update : 2007-02-27T00:29:19+09:00