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プーチン大統領、教皇と会談、ロシア訪問招請せず

 【CJC=東京】教皇ベネディクト十六世は3月13日、ロシアのウラジミル・プーチン大統領とバチカン(ローマ教皇庁)で会談した。会談は約25分間ドイツ語で行われ、温かく前向きな雰囲気だったという。教皇はドイツ出身、大統領は旧ソ連国家保安委員会(KGB)要員として旧東ドイツに駐在していたこともありドイツ語は堪能。ロシア側からドイツ語を使うことを申し出たと伝えられる。
 教皇とロシア首脳の会談は約3年ぶり、ベネディクト十六世とプーチン大統領が会見するのは今回が初めて。
 大統領は、約1000年前に分裂したカトリック教会と対立を続けているロシア正教会のモスクワ総主教アレクシー二世からのあいさつを教皇に伝えた。両教会の関係修復に向けたサインとして注目される。教皇との会談は、対立緩和と妥協点の模索が焦点とされていた。
 前教皇ヨハネ・パウロ二世は、ゴルバチョフ大統領やエリツィン大統領からロシア訪問の招待を受けていたが、ロシア正教会指導者らの反対に遭い、同国訪問は実現しなかった。プーチン大統領はヨハネ・パウロ二世と2回会談したもののロシアに招待せず、今回も教皇招請には至らず、和解のきっかけになる、との期待は満たされなかった。
 ロシア駐在教皇特使のメニニ大司教は、会談について「教皇のロシア訪問が最重要議題ではなかったものの、カトリックとロシア正教会の対話が進展した」と述べた。正教会側は、両派が「ともに伝統的倫理観の保護に取り組んでいる」として、今回の会談について「重要課題への理解次第。まず既存の問題を解決することが必要」と反応している。
 教皇・大統領会談と並行して、セルゲイ・ラブロフ外相ほか大統領使節団と、教皇庁国務長官タルチジオ・ベルトーネ枢機卿、外務局長ドミニク・マンベルティ大司教の間でも会談が行なわれた。
 一連の会談では、相互の文化的交流のさらなる発展が検討された。カトリック教会と正教会の関係、中東をはじめとする国際情勢などについての意見交換も行なわれた。
 さらに、国家間の共存に対する重大な脅威である過激主義や不寛容にも注意が向けられ、平和を守り、闘争を交渉と調停によって解決する必要が強調された。
 バチカン筋は、両派指導者の初会談が第三国で行う可能性を示唆している。

キリスト教界検索キリスト教界ニュース Last Update : 2007-03-20T01:25:48+09:00