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米聖公会が共同体を離脱すると…

 【CJC=東京】同性愛者間の結合や主教任命、さらには女性聖職問題などで世界聖公会共同体から反省を求められている米聖公会。回答期限の9月30日を待たず、拒否の姿勢が明らかになった。
 共同体は救い、真理、性に関する聖書理解について議論を重ねて来たが、2003年に米聖公会が公然同性愛者のジーン・ロビンソン氏をニューハンプシャー主教に任命したことで「保守派」にとっては対立が決定的となった。「真のキリスト教の枠をはみ出す」という。
 共同体はかつては北米と欧州の教会が優勢だったが、この所急成長して大きな勢力になっているのは発展途上国の教会で、そこでは伝統的な聖書理解が今も問題なく受け入れられている。
 ナイジェリア聖公会の指導者ピーター・アキノラ大主教が同性愛者の聖職叙階反対を牽引していることは、偶然の一致ではない。ナイジェリア聖公会は信徒数が1750万人で米聖公会の7倍以上大きい。
 タンザニアのダルエスサレエームで会談した共同体指導者たちの意向は、米聖公会が拒否を貫く限り、共同体からの排除も有り得るということだった。しかし万一離脱となれば共同体自身と構成各管区(聖公会)の財政問題が浮上する。
 米聖公会は共同体を離脱しても存続は可能だろう。信徒数は230万人と共同体の中では少数派ではあるが、その影響力は大きく、国外伝道にも熱心だ。共同体の方が離脱によって受ける影響は大きい。共同体の収入の多くは米聖公会に依存している。
 共同体を構成する管区38の中で、信徒数では米聖公会はその3%を占めるに過ぎないが、経費負担の面では3分の1以上が米聖公会の拠出によっている。
 米聖公会は、全体として毎年1800万ドル(約21億円)拠出しているだけでなく、各教区、教会レベルで、毎年、アフリカ、アジア、ラテンアメリカの経済的困難な聖公会、系列の学校、診療所、宣教師などのために数千万ドルを献金をしている。
 全体として見て米聖公会予算の4分の1が女性、青年、平和と正義部門で各国聖公会と協力するために振り向けられている。ニューヨークの聖公会本部も、活動の多くが世界共同体と密接な関係を保ちつつ行われているだけに、離脱が現実となった時の事態は予測しがたい。
 「米聖公会は世界共同体を必要としているし、共同体も米聖公会を必要としていると思う」(米聖公会アングリカン関係部長のマーガレット・らローム氏)中で、9月30日の期限が持つ意味の重さは増すばかりだ。□

キリスト教界検索キリスト教界ニュース Last Update : 2007-04-09T20:48:29+09:00