【CJC=東京】ナイジェリア聖公会(英国国教会)のピーター・アキノラ大主教は5月5日、バージニア州ウッドミルズでマーティン・ミンズ司祭を米国のための「宣教主教」に叙階した。同司祭が、米聖公会の自由化傾向に反発して離脱した司祭と共にアキノラ大主教の裁知を求めていたのに応えた形となり、世界聖公会共同体内部の「分裂」を決定付けることになった。
アキノラ大主教は保守的な立場で知られているが、とりわけ聖書が同性愛や離婚した聖職者に明確に反対している、と主張する動きの指導者。
叙階式には米国だけでなくカナダ、イギリス、ナイジェリア、ウガンダの主教も参加、米聖公会を離脱した信徒数百人が喜びの声をあげていた。
今回の叙階は米聖公会を混乱に陥れるだけでなく、聖公会全体の分裂を招きかねない問題を含んでいる。
世界聖公会の霊的最高指導者ローワン・ウィリアムズ・カンタベリー大主教と米聖公会のカサリン・ジェファート=ショリ総裁主教は、ミンズ司祭の叙階を執行しないようアキノラ大主教に要請していた。しかし世界聖公会共同体は階層的なものでないだけに、カンタベリー大主教でも各聖公会へ命令したり、処罰は出来ない。
ミンズ司祭はバージニア州フェアファクスのトルロ教会牧師で、昨年12月に州内の11教会が聖公会を離脱し、アキノラ大主教の裁知の下に入ることを決めた際の指導者。米聖公会の教勢低下の中で、いくつかの有力教会が離脱したことによる影響も無視できない。 一方、アキノラ大主教が指導するナイジェリア聖公会は世界共同体の中でも信徒数が増えて有力教会になっている。