教界ニュース

ニュースを友達にも教える

『ハリー・ポッター』に神を探す…

 【CJC=東京】J・K・ローリングの最新刊『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』が評判を呼び、騒ぎに巻き込まれないキリスト者の家庭はまずないほどになっている、と米福音派のANS通信(ジェレミー・レイナード記者)が報じた。子どもたちが読みたい、と声を上げることは必至だからだ、という。
 ポッターという言葉を口にするだけで、福音派では賛否両論がぶつかり合う事態にもなっている。ポッターに関しては誰一人、中立ではいられない。その本を好ましく思うか、嫌いかのいずれかに分けられてしまう。
 ニューメキシコ州アラモゴードで牧師が「禁書式」を行ったが、本自体を読んでいなかったことから、文字通り攻撃の火の手に自らさらされることになった。
 レイナード記者は「ハリー・ポッターに神を探す」の著者ジョン・グレンジャー氏に、最近作の評判についてインタビューした。
 彼は強い信仰の持ち主で、古典文学の研究者であり、子どもが読む本について両親は非常に慎重であるべきだと堅く信じていることがわかり驚かされた、とレイナード記者は言う。グレンジャー氏とメアリ夫人には子どもが7人いるが、子どもたちの見聞きすることで受ける影響を重視しており、家にテレビを置かないほどだ。
 11歳の娘に、最初にハリー・ポッターの本を与えた時、グレンジャー氏は、この本が良くないということを説明するために、まず彼が読んだと語った。
 グレンジャー氏は「私は娘に、評判が良いからといって、馬鹿げたそのような本は読まないのだということを分からせる個所を見つけられると思った」と言う。しかし、一読した後で文学通り変化してしまった。
 ポッターを読んでみて、最初の『ハリー・ポッターと賢者の石』をC・S・ルイスやJ・R・トールキンのような方向性で書かれた小説だと感じたと評している。「私たちが読むべき偉大な物語に共鳴する話なのだ。ハリーは、家族皆で共有出来るキリスト教の英雄だ」と、グレンジャー氏は力説する。「ローリングの本は、キリスト教的なテーマ、イメージ、美徳、意味で満ちており、不思議ではあるが、本書が広く読まれる理由でもある。人間の心はキリスト教のメッセージを求めている。想像的な経験であっても、ということで、そしてハリー・ポッターは最も“福音書を利用している”」のだ。
 とは言え、版元のティンダル・ハウス社ソルトリバー出版部はキリスト教書専門であるだけに、世間の評判を読みきれないことを意識して、ベストセラー必至でも、キリスト教界に批判も多いグレンジャー氏の著書出版の理由を説明する短い序文を入れることにした。
 「答えは本当に単純だ。キリスト教的思想や価値観について話し合うため子どもたちが読みたくなる物語を、本の様々な所に埋め込まれた世界観を評価出来るものとして、何百万もの人がハリー・ポッターの本を読んでいる。私たちは『ハリー・ポッターに神を探す』が、そのような話し合いのきっかけとして、また信仰と精神的な理解の成長に役立つことを期待している」。
 グレンジャー氏に、キリスト者の両親の多く親がなぜ熱烈に反対するのか尋ねてみた。
 同氏は、ハリー・ポッター物語は魔法やオカルトなど、聖書が明確に禁じているものを扱っており、それが子どもたちにひどく危険だと親たちが信じているからだ、と答えた。「メディアや大学をめぐる、信仰深い大多数と世俗的な少数派の間の対立の中で、ハリーは、避雷針、リトマス試験紙、戦場を全部足したようなものになっている」と言う。
 さらに「実際の所、ハリー・ポッターに出て来る魔法は、聖書によって禁じられたものではない。その本を読んだから、怪しげな振る舞いをするようにはならない。実際にそのような事は起きていない」とグレンジャー氏は答えた。
 (注:本記事は英語版の米国社会での受け入れ方を評価したもので、日本語訳の日本での受容実態とは無関係です)

キリスト教界検索キリスト教界ニュース Last Update : 2007-08-07T02:08:06+09:00