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「暴力のない世界」を主題にナポリで異宗教間サミット

 【CJC=東京】イタリア南部ナポリで、異宗教間サミットが10月21日開幕した。「暴力のない世界:対話を通じた信仰と文化」を主題に掲げた同サミットは聖エギディオ共同体が主催し毎年開催される。サミットにはカトリック、正教会、プロテスタント諸派、英国国教会(聖公会)などキリスト教だけでなくイスラム教、ユダヤ教、ヒンズー教、仏教などの代表も含め約300人が参加した。教皇ベネディクト十六世も、教皇として初めて大規模な異宗教間の会合に参加した。サミットでは、暴力のほかエイズ、移民、アフリカ、中東和平などの問題も協議された。
 教皇は、「われわれの使命は、それぞれの宗教の相違点を尊重しつつ、世界平和と人類の和解のために尽力すること」と述べ、「争いによって引き裂かれ、神の名の下に暴力が正当化されることもあるこの世界において、宗教は憎しみの道具になり得ないと繰り返し表明することが重要だ」と指摘、異宗教の信者との「誠実で公明正大な対話」に尽力する姿勢を強調した。
 また教皇は、2001年9月11日の米同時多発テロについて言及し、翌02年に開催された同サミットを振り返り、当時の教皇故ヨハネ・パウロ二世が世界の宗教指導者に、「人類に対する深刻な脅威、とりわけテロの脅威を止めるために神の助けを求めよう」と呼びかけたことを想起した。
 サミットは23日、「神の名の下に行う暴力や戦争は神への冒涜」とする共同声明を発表して閉幕した。声明は、暴力を伝染病にたとえ、「戦争、テロ、貧困、絶望、搾取などの形で地球上に出現」し、「罪なき人々を傷つけ、人間性を歪めるもの」だとして、「全ての人類にとって、暴力は常に敗北である」と、暴力否定を訴えている。
 次回の異宗教間サミットはキプロスで開催される。
 今回のサミットに先立ち、主要なイスラム教学者138人が世界中のキリスト者に宛てた声明「私たちとあなた方の間の共通の言葉」を10月11日発表、キリスト教指導者に対し、両宗教を近づけるための取り組み強化を訴えている。

キリスト教界検索キリスト教界ニュース Last Update : 2007-10-30T03:19:12+09:00