全インド・キリスト教協議会がテロ非難声明

発信 : 2008年10月20日 (月) 00:09

 【CJC=東京】インドのキリスト教共同体は、「銃、剣、火災、略奪という試練に直面している。これはキリスト教が最初に広まった国の一つであるインド2000年の歴史の中で最悪の危機だ」と全インド・キリスト教協議会(AICC)の共同声明が指摘している。米国のキリスト教専門ASSIST通信が報じた。
 ジョセフ・デスーザ議長とジョン・ダヤル総幹事によって作成された声明は、「世界ヒンズー協議会(VHP)とその青年組織『バイランダル』などの残虐なギャング集団による暴力が8月24日の発生以来、45日も続いているオリッサ州は、キリスト者に対する民族浄化」という。
 デスーザ議長とダヤル総幹事は、オリッサ州でキリスト者への民族浄化を、同州の政党『ビジュ・ジャナタ・ダル』と人民党(BJP)連立政権が阻止出来なかったと指摘、「これまで300の村でキリスト者が浄化され、キャンプにいる難民約1万7000人は、ヒンズー教徒になれば家に戻れる、と言われている。家屋4000戸以上、教会100カ所以上が焼かれ、3万人以上、その半数以上は子どもが森林に隠れているか、"内部難民" (IDP)として扱われている。生きながら焼かれるなど虐殺された人も50人を超えた」と述べている。
 修道女を始め、多数に性的暴行を受けた女性は数え切れない。2007年12月にオリッサ州で広範囲に発生した暴力事件の際にも性的暴行が行われたとされている。
 「実際的には、オリッサ州は、法令主義が行われ、憲法が有効なインドの一部ではないようだ」と声明は指摘する。
 暴力は、人民党(BJP)が支配しているカルナータカ、チャッティースガル、マディヤプラデーシュ、ウッタラーカンドの諸州に広がった。暴力行為はそれ以外のジャールカンド、タミル・ナードゥ、アーンドラ・プラデーシュ、デリー州に広がり、教会が破壊されたり、聖職者が襲われ、殺害される例も出ている。
 さらに声明は次のように指摘している。
 「議会の野党第一党党首として、また自党の最高指導者として人民党のラル・クリシュナ・アドバニ氏は、各州政府に、暴力阻止を命じることが出来たはずだ。ところが彼は40日以上も沈黙の観測者であり続けることに決めた。ついにオリッサ州での修道女強姦を非難する発言をした時、彼はキリスト教指導者との会談で、"強制、不正な改宗"について言及することで、重大事件から関心をそらした。
 「人民党やヒンズー至上主義集団『民族義勇団』(RSS)との対話で、殺人犯、放火犯、強姦犯人を浮かび上がらせることはなかった」
 「暴力は誰の責任か、犠牲者を救うこともせず、キリスト者に対する暴力に加わったとして有罪である暴力集団や警察と共謀した政治指導者の責任を問うこともほとんどなかった」
 「わたしたちの苦しみは深い。今回のような"対話"への試みは、人民党の責任や、オリッサ州などで政権を保持しているテロ集団を救うための手段ではないか、と見ている」
 ただ全インド・キリスト教協議会は、「日常生活とキリスト者としての証しの基礎」として対話を歓迎する、と言う。。
 「対話は互恵、理解、同等なものとして互いを認め合うことを通じて、自由意志、平和的な基盤、明確な議題、共通の目標を前提とするものだ」と声明は指摘、さらに「人民党側の"対話"は、共同体を分裂させ、少数派を孤立させるねらいがある。キリスト教に関しては、『ビリーバーズ教会』と『ニューライフ。フェローシップ』が狙い打ちされている。わたしたちはこれを非難し、カトリックから、聖公会(英国国教会)、福音派、ペンテコステ派までの諸派の一致を確認する。キリストを信じる人はみなキリスト者だ」と述べている。