ユダヤ人と福音派が「転向」めぐり衝突

発信 : 2008年09月22日 (月) 01:05

 【エルサレム=ENI・CJC】(ジュディス・スディロフスキー記)米国のユダヤ人グループ『アンチデファメーション(反名誉毀損)連盟』(ADL、本部ニューヨーク)は、世界福音同盟(WEA)が欧州のユダヤ民族改宗に関わり続けると意思表示したことを非難、ユダヤ人に対する「重大な侮辱」と指摘した。
 「欧州のユダヤ人を改宗の目標とすることを止め、ユダヤ教側の超党派代表との真剣な対話をすぐに始めるうことをWEAに要請する」と、ADLは9月5日発表した声明で述べた。
 声明は、8月18〜22日にベルリンで開催されたWEA特別専門委員会が「キリストの独自性と今日のユダヤ人伝道に関するベルリン宣言」と呼ばれる文書を発表したのを受けてのもの。
 WEA文書は、「行ないにおける愛は、欧州のユダヤ人も含め、あらゆる所にいる人々と福音を分かち合うことを、すべてのキリスト者に強制する」と述べている。
 文書は「反ユダヤ主義、偏見、差別」を非難し、「神は信仰者を、福音を世界にもたらすために召す。誰もが、ユダヤ人も含めて、このメッセージを聞く必要がある」と主張する。
 ADLは、WEA文書を拒否する声明の中で、「この福音派の文書は、愛の差し伸べではなく憎悪の命令である。WEAが、ユダヤ教を不完全だとか、誤った教えだと言う限り、反ユダヤ主義は続く」と指摘している。
 ADLの声明には、エイブラハム・H・フォックスマン全国担当と、宗教間政策担当のラビ・エリック・J・グリーンバーグが署名した。
 「WEAは、ユダヤ人を転向させるのは、ユダヤ人への「愛」から出ていると主張するが、私たちは、WEAが本当にユダヤ人を愛しているのなら、ユダヤ教を尊重し、ユダヤ教の伝統の完全性を認めるだろうと信じる」と署名した2人は語り、「ナチが、ユダヤ人を皆殺しにする最終的な決断を命令したベルリンからこの宣言を出すとは無神経の極み」と付け加えた。
 WEA神学委員会議長のデービッド・パーカー牧師は、ENI通信に電子メールで、ベルリン宣言の「公正な読み方」が「福音の欺瞞的なまた他の不正な形だけでなく反ユダヤ主義も非難している」ことを理解させる、と伝えて来た。「キリスト者にとって、またその他の人にとって、自らの信念を表わし、それを伝える自由の重要性を、私たちは強調する。それにはユダヤ人でイエスを信じる人も尊敬されるべきであり、その信仰のため差別を経験するべきでないことも含めている」と言う。
、「結局、それは自分の仲間のユダヤ人にわが身を提供し、また最初のユダヤ人の弟子によって共有された1人のユダヤ人イエスのメッセージと教えを受け入れ、それに従うという事なのだ」と、パーカー氏は付け加えた。