【ロンドン2003年10月10日】ローマ・カトリック教会の総本山バチカン(法王庁)は世界のエイズ患者たちにコンドームを使わないよう勧告していることが分かった、との英BBCテレビの調査報道番組が12日放映される。事前にメディアに公表されたこのスッパ抜き報道の抜粋によれば、法王庁は、コンドームは衛生専門家たちの助言とは反対に、エイズウイルスからの保護に役立たないと主張しているという。
「セックスと法王庁」と題した同番組によれば、法王庁の世界4大陸の指導者たちは、エイズウイルスがコンドームの小さな穴をすり抜けることが可能だとの理由で使用しないよう呼び掛けている。バチカンの最長老の枢機卿の1人、アルフォンソ・ロペス氏は同番組に対し、エイズウイルスは精子のおよそ450分の1の大きさしかなく、コンドームの「網の目」を容易にくぐり抜けることができると強調している。
番組に紹介されたカトリックの尼僧は、エイズに感染した聖歌隊隊長に対し、ウイルスがすり抜けるので、妻との間でコンドームを使わないよう助言している。ナイロビ大司教のヌディンギ・ヌゼキ氏は、エイズがこれほど急速に拡大したのはコンドームが流通しているからだと断言している。
番組の中で世界保健機関(WHO)のスポークスマンは、こうした勧告は極めて危険だと批判し、コンドームがエイズ感染を防ぐ証拠は十分にあると反論している。〔AFP=時事〕