みんなのキリスト教ニュース - 国内初「列福式」まで1ヵ月 長崎に信者2万7000人 / 西日本新聞

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 カトリック信仰の模範となった人を「福者」の位に列するローマ法王庁の「列福式」が11月24日、長崎市で開かれる。1549年にキリスト教が伝来して以来、国内初開催となる歴史的行事には、国内外から約2万7000人の信者が参列。大混雑も予想される一方、県内の教会群とキリスト教関連遺産の世界遺産登録を目指す行政関係者は、運動後押しへの期待を寄せる。信仰の里は慌ただしさを増しつつある。

■混雑も歴史的規模? 世界遺産後押しに期待も

 「3日間にわたる長崎くんちとは違う“一点集中型”の行事。しかも、当日は3連休最終日と重なり、未経験の混雑になるかもしれない」。長崎市文化観光総務課の担当者は不安を打ち明ける。

 参列者のうち、1万2000‐3000人が県外から。このほか、五島、平戸など信仰が盛んな県内の遠隔地からも多数が訪れるとみられ、収容能力が約1万5000人の同市内の宿泊施設は既に、式前日は予約でほぼ満室だ。

 会場の県営野球場は、グラウンドに約1万5000脚のいすを並べ、収容人員を2000人超す人が集まる。参列者を送迎する大型貸し切りバスは約200台。一列に並べば、会場から約3キロ離れたJR長崎駅まで連なる計算だ。会場周辺に十分な停車スペースはなく、式の準備を進める長崎カトリックセンターは県警や市と対策を協議中だが、有効策は見いだせていない。

 長崎の信者にとって、列福式は四半世紀にわたる悲願だった。1981年、当時のローマ法王ヨハネ・パウロ2世の来訪を機に江戸時代の殉教者の列福運動が始まり、昨年、ようやく法王庁の承認を得て殉教の地・長崎での開催が決まった。

 「弾圧を乗り越え、今も多くの信者が暮らす長崎で歴史を見直すことに大きな意義がある」(片岡瑠美子長崎純心大教授)と、カトリック系の大学生もボランティアで会場のガイドを務める一方、信者だけでなく地元の医師や看護師ら約130人も、参列者の救護のため会場に待機するなど支援の輪も広がっている。

 折しも同県は、世界遺産の国内候補となった「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の本登録へ向けた正念場。「行政は宗教行事に直接かかわれないが、世界遺産登録を後押しする好機」(嶋田孝弘県企画監)と期待し、登録への支援を求める冊子を全参列者に配る方向で準備を進めている。

 本番まで1カ月。信仰の一大イベントは、地域にとっても「福音」となるか。期待と緊張は徐々に高まっている。

=2008/10/24付 西日本新聞朝刊=


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