みんなのキリスト教ニュース - 日本愛した神父悲運「信者が避難も」と教会へ

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 「アンドレせんせい」。幼稚園児からそう呼ばれて慕われたカナダ人神父は、大好きな子供たちから寄せ書きをもらった日の午後、水没した街で力尽きた。

 東日本大震災は、日本を愛した外国の人たちの命も奪い去った。

 カナダ出身のアンドレ・ラシャペルさん(76)は、50年前に来日し、中学や高校で教師を務めた後、宮城県塩釜市で小さなカトリック教会の神父をしていた。

 信者の女性(63)は、11年前に25歳の娘を脳腫瘍で亡くす前、入院先に通ってくれた時の姿が忘れられない。〈よくがんばっています。早く元気になって〉。日本語で書かれたラシャペルさんの手紙を、彼女は大切に病室の壁に貼っていたという。

 ミサの日は、早朝のまだ暗い時間に起きてストーブに火を入れ、約50人の信者一人一人を玄関前で迎える。月に2~3回は隣の幼稚園で英語を教えた。

 先月11日の午前中には、翌日に卒園式を控えた園児たちから感謝の寄せ書きを受け取った。ラシャペルさんが驚きと照れの交じった穏やかな笑みを浮かべるのを、周囲は覚えている。

 激しい揺れが東北を襲ったのはその午後。仙台市内の系列の教会にいた。車に乗り込もうとして他の神父から「危ない」と止められると、「教会に信者さんたちが避難してくるかもしれないから」と言い残し、塩釜市へと車を向けた。

 翌日、同市内の路上で、ラシャペルさんの遺体が見つかった。車は離れた場所で見つかり、周囲の道路は水没していた。津波にさらわれたのか。死因は分かっていないが、1キロ先の高台で被害を免れた教会に向かって、懸命に進もうとしていたようにも見えた。
(2011年4月6日14時43分 読売新聞)


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