みんなのキリスト教ニュース - 東京新聞:一つ屋根の下 専有面積に応じ費用負担 政教分離問題クリア

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 東京都千代田区が神田駿河台で、キリスト教の教会との合同建築の障害者福祉センター(仮称)を建設している。十年以上建設用地を探していた区側と、資金難で建て替えられなかった教会側が合意した。憲法の定める政教分離規定があり、宗教施設と公共施設の合同建築は珍しいが、教会側が専有面積に応じた費用を負担することで問題を解決した。

 区施設と合同で建て替えるのは「御茶の水キリストの教会」。今年三月に着工。地上八階建てで延べ床面積は約二千九百平方メートル。一-五階に知的障害者、身体障害者、精神障害者を対象とする区の施設が入り、六階以上が教会となる。

 憲法は、宗教団体が国など公的機関から特権を受けることや、政治上の権力の行使、宗教法人や組織の利益になるような公金支出を禁じている。

 このため、建物には二基のエレベーターを設置し、施設関係者と教会側が区別して使うよう配慮。総工費約十一億円のうち、教会側が約四億三千五百万円を負担する。約五百六十平方メートルの敷地は教会の所有のため、区は年間約千五百万円の土地使用料を教会側に支払う。

 「御茶の水キリストの教会」は、一九五九年完成の旧建物が老朽化し、耐震基準も満たしていなかった。約六年前、台東区内のコンサルタント会社の仲介で区と話し合いが始まったが、教会関係者は「資金的な事情もあったが、障害者施設を建てたいという区の趣旨に賛同したため、一緒に建てることに決めた」と振り返る。

 教会の信者の理解を得ることも課題で、当初、信者の約半数が合同建築に難色を示していた。しかし、石川雅己区長が説明を重ね、着工にこぎつけた。

 千葉大の新藤宗幸教授(行政学)は、一般論として「運営・経営面で困窮している教会があると聞く。計画に一種の救済的側面があれば、政教分離に触れる可能性がある」と指摘。奥平康弘東大名誉教授(憲法)は「敷地の所有者である教会が区施設に影響を及ぼさなければ、問題ない」との見解を示した。

 同センターは、来年十月完成、二〇一〇年一月ごろに開所する予定。区の障害者福祉の中心施設と位置づけられている。

東京新聞 2008年12月5日 夕刊


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