みんなのキリスト教ニュース - “クリスマスの星”の議論は続く

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 新約聖書では、東方の三博士が“ベツレヘムの星”と呼ばれる天空の合図に導かれて、飼い葉桶に寝かされた生まれたばかりのイエス・キリストの元を訪れる。

 この星は本当に存在したのだろうか。実在したとすれば、どのような星だったのか。天文学者たちは何世紀にもわたり、この問題について議論を続けている。彗星、流星群、超新星などさまざまな説が提示されてきたが、ここ数年は主に2つの説が議論の中心となっている。

 第1の説は、明るい惑星である金星と木星の1回の惑星集合(“合”と呼ばれる)に関するものだ。紀元前2年6月17日には特別に目立つ合が発生している。2つの明るい惑星は当日の夜、非常に接近していて合体しているように見えたと考えられることから、一部の天文学者はこの合がベツレヘムの星ではないかと主張している。

 アメリカ、カリフォルニア州ロサンゼルスにあるグリフィス天文台所長のエド・クルップ氏は、「その当時に星空を見ていた人々は、夕方の西の空に1つの巨大な星のような物体があると思ったに違いない」と話す(金星と木星の合は今年の12月にも発生した)。

 だが、この日が本当にキリストの誕生日に当たるのかという重大な疑問が残されている。イリノイ州シカゴにあるアドラープラネタリウムの天文学史部門責任者マーヴィン・ボルト氏は、「キリストが生まれた正確な日付についてはさまざまな説があり、信頼できる記録は見つかっていない」と言う。

 天文学の歴史的、神学的な側面を研究する学者たちは、ベツレヘムの星はもっと複雑な現象だったと考えている。「いまの天文学者たちは、現代の設備やテクノロジーで観測できるような華やかな現象を探そうとしている。彼らはベツレヘムの星の物語自体が持つ文化的影響や重要性を見逃しているのだ」とボルト氏は言う。

 ボルト氏は、月や木星や特定の星のグループが天空で複雑な配置を展開し、その結果、一連の配置から総体的に伝説が発生したという第2の説を支持している。月や木星などは、占星術師でもあった当時の天文学者たちにとって重要な意味を持つ天体だった。

 この一連の天体現象は紀元前6年の4月に始まった。木星は最初におひつじ座に位置していたが、その後の数カ月の間に、月と接近して2回の合が発生し、土星とも並んだ。当時、おひつじ座はユダヤ人の象徴と見なされており、木星の連続した動きは王権の授与を示唆していたという。

 第1の説は厳密に天文学的な発想であるのに対し、第2の説はより繊細な視点から古代の天体観測者たちの心を見つめようとしている。「現代人が注目するような天体現象を探すのではなく、2000年前の人々の生活にとって何が重要だったのかを探らなければならない」とボルト氏は指摘する。

 グリフィス天文台のクルップ氏は、「第2の説もなかなかもっともらしいが、天文学界で支持されるにはしばらく時間がかかるだろう」と言う。

 しかし、一部のプラネタリウムでは、「東方の三博士とベツレヘムの星」という伝統的なショーを変更し、キリスト降誕の物語の歴史的な解釈に第2の説を取り入れ始めている。「多くのプラネタリウムが従来のショーを取りやめて、新しい理論に基づいたストーリーを提案している」とボルト氏は話す。

 クルップ氏は、新たなデータが発見されない限り、大きな進展はないだろうと考える。「現時点で2000年前に実際に起きたことを解明するには、キリストの誕生について言及している確かな証拠が必要だ。キリストが特定の日時に生まれたことを明確に示すものがないとね」。

ナショナルジオグラフィック ニュース


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