みんなのキリスト教ニュース - エジプト:ローマ法王発言を批判 コプト教徒保護に言及、バチカン大使召還

logo


1
 【カイロ和田浩明】エジプト外務省は11日、イスラム諸国にキリスト教徒保護を呼びかけたローマ法王ベネディクト16世の発言を「内政干渉」と批判、駐バチカン大使を「協議」のため召還したと発表した。一方、エジプト中部では同日、警察官が列車内でキリスト教の一派コプト教徒に発砲、1人が死亡、5人が負傷した。エジプトでは1日にもコプト教徒ら21人が死亡する爆弾テロが起きたばかり。
 ◇列車内で警官発砲、教徒6人死傷

 法王は北部アレクサンドリアのコプト教会前で起きた1日のテロの際、「差別」との表現で攻撃を批判した。10日には、各国大使を前にした世界情勢に関するスピーチで、エジプトやイラクで起きたキリスト教徒を標的にしたテロに言及。「(中東)地域の各国政府が宗教的少数派を保護する緊急の必要性がある」と発言した。

 さらに、宗教的自由は礼拝の自由の保障だけでは十分でないと述べ、小学校段階から適切な教育が行われるべきだとの認識を示した。エジプト外務省は声明で「コプト問題はエジプトの核心的な内政問題だ」と指摘、法王の発言を「受け入れられない干渉だ」と批判した。

 11日夕、エジプト中部ミニヤ県では、イスラム教徒の警官がカイロ行きの列車内で乗客に発砲。内務省によるとコプト教徒6人が死傷。警官は逃走したが、自宅で逮捕された。動機は不明で、コプト教徒を狙った犯行かどうか明らかではない。

 エジプトではコプト教徒は人口の約1割を占める。憲法は信教の自由を保障するが、差別の指摘は根強い。近年、保守的な南部を中心にイスラム教徒との衝突が散発、死傷者も出ていた。

 エジプトのコプト教会に対し、国際テロ組織アルカイダのイラク分派組織「イラク・イスラム国(ISI)」は昨年11月に攻撃の意向を示すなど、越境テロの危険性が浮上していた。イラクでは03年のイラク戦争後、侵攻を主導した米国への反発を背景にしたテロや迫害でキリスト教徒が大量脱出して総人口比が半減、バチカン(ローマ法王庁)は懸念を表明していた。

毎日新聞 2011年1月12日 東京夕刊


コメント 推薦者 関連リンク



Powered By Pligg            | サイトポリシー | サイト運営者情報 | お問い合わせ |            キリスト教の検索 なら「 KIRISUTO.INFO