みんなのキリスト教ニュース - 米にノアの箱船テーマパーク、バベルの塔も

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 【ロサンゼルス=西島太郎】米ケンタッキー州で、聖書の記述に基づく巨大な「ノアの箱船」を再現したテーマパークの開発計画が進められている。

 建設と運営にあたるのは民間企業体だが、州政府も税の優遇措置などで計画を援助する。州側は「雇用促進などに貢献する」と強調するが、宗教色の強い施設への州の関与は「合衆国憲法が定めた政教分離の原則に違反する」との批判も強く、論議を呼んでいる。

 「箱船との遭遇」と名付けられたテーマパークは、同州北部グラント郡に計画され、300ヘクタールを超える敷地には、全長150メートル、幅22メートル、高さ13メートルの木製の箱船が建設される。旧約聖書の記述を参考に、ほぼ「実物大」にするという。

 今年中の着工を目指し、2014年の完成後には、箱船の中で様々な動物を飼育するほか、敷地内には、同じく旧約聖書に登場する「バベルの塔」のレプリカも建てる。開発事業費は1億5000万ドル(約124億円)が見込まれるが、税の減免措置で、企業体側は完成後10年間で、開発事業費の約4分の1を取り戻すことができるという。

 同州の失業率は5年連続で全米平均を上回り、州は観光のてこ入れで、景気立て直しを図りたい意向だ。スティーブ・ベシア州知事は「施設完成後は、地元に900人の雇用が創出され、初年度は160万人の来場が予測される」と語る。

 同州がある地域はキリスト教色が強く、開発予定地近くには、キリスト教系団体「アンサーズ・イン・ジェネシス(AiG)」が4年前に建設した「天地創造博物館」がある。進化論を否定して、人間が恐竜と一緒に生きていた場面などを展示。これまでに約120万人が訪れる人気スポットとなっている。

 今回の計画も、AiGが州に持ち掛けたとされ、開発事業者にはAiGも名を連ねている。

 政教分離問題について、ベシア知事は「特定の宗教を支援する意図はない。雇用をもたらしてくれる営利団体を後押しするだけで、分離に違反はしていない」と釈明する。

 一方、地元紙は、経済効果の点で一定の評価をしながらも、政教分離を巡る危惧を訴える。政教分離原則を擁護する一部の団体は、計画の中止を求める訴訟の準備もしているという。
(2011年1月25日15時10分 読売新聞)


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