みんなのキリスト教ニュース - 再出発誓う讃美歌 釜石の教会で礼拝再開

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 津波に耐えたステンドグラスから陽光が差し込む。釜石市大町3丁目の新生釜石教会で3日、震災後初めて礼拝堂を使った日曜礼拝が行われた。柳谷雄介牧師(42)は避難所生活を送りながら市民のために教会を開放、ヘドロとがれきに覆われた礼拝堂の片付けを進めてきた。「悲しみにうちひしがれている人たちと不安を分かち合いたい」。犠牲者を悼み、再出発を誓う静かな時間が流れた。

 日曜礼拝は教会前の敷地で始まり、市内の信者や各地のボランティアら約30人が集まった。柳谷牧師は「釜石は重荷を背負ってしまったが、神様の救いがあることを信じたい」と、がれきの街に賛美歌を響かせた。

 「被災の夜、避難したみんなで食べ物を分かち合う姿があった。真っ暗闇だったが、そこに光はあった」と語り掛け、「被災者と支援者という線を引かずに交流したい」とボランティア活動について言葉を継いだ。礼拝堂に移り、黙想した。

 市街地に押し寄せた津波は、結婚式場としても使われていた礼拝堂のドアを突き破り、瞬く間に室内をのみ込んだ。壁には高さ3メートルまで痕跡が残る。ピアノや聖書も水没してしまったが、祭壇の十字架は無事だった。

 建物のダメージは少なく、難を逃れた柳谷牧師と妻直美さん(42)は全国の教会関係者の手を借りて、20日ほどかけて残骸を取り除いた。柳谷牧師はその間、参加者がいない時も礼拝を欠かさなかった。

 全国から集まった食料や肌着類の支援物資は、ホワイトボードに列挙して希望者に配布。教会前の敷地にはテントを設け、まきストーブも置いた。地域の人が一息つけるようにと配慮し、復旧を後押しする。

 非日常が続く被災地。教会は今もライフライン復旧の見通しは立たない。柳谷牧師は「ここに来れば何かあるという雰囲気が芽生えつつある。みんなが和める、笑顔のある場所にしたい」と疲れを見せずに語った。

【写真=ろうそくをともし、日曜礼拝を行う柳谷雄介牧師(右から4人目)。壁には津波の痕跡がくっきりと残る=釜石市大町3丁目・新生釜石教会】

岩手日報 2011/04/04


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