みんなのキリスト教ニュース - 「テクノロジーが神に代わることはできない」──ローマ法王

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 キリストの復活を祝う聖週間の初日となる4月17日、ローマ法王ベネディクト16世は「枝の主日」に集まった大勢のローマカトリック教徒らに向けてミサを行い、「テクノロジーが人間に神の力を与えられるなどと考えれば、人間はその思い上がりに対して高い代償を払うことになるだろう」と語った。

 ローマの明るい日差しの下、ドイツ出身の現法王が執り行ったこの華やかなミサには、何万人もの信者が集まり、イエス・キリストがエルサレムに入城してから十字架にかけられるまでを記念する聖週間の始まりを祝って、ヤシやオリーブの枝を振った。

 4月16日で84歳になったベネディクト16世は、人間と神との関係をテーマに説教を行い、「その関係は時に科学技術によって脅かされることもある」と訴えた。

 「そもそも人類は最初から、神のようになりたいという欲望、自分の力で神の高みに至りたいという欲望を抱いてきた。そして今日、それがかつてないほど本当のことになっている」と華やかな赤とゴールドの祭服に身を包んだ法王は語った。

 「人類はあまりに多くのことを成し遂げてきた。われわれは空を飛ぶことができる。地球の裏側の人たちのことを見聞きしたり、互いに話をしたりもできる。だがわれわれを引っ張り下ろす重力の力は依然として強力だ」と法王。

 「技術の大幅な進歩は人類の生活を向上させてきたが、一方では邪悪の種を増やしてもいる。ここ最近の自然災害は、人類が全能ではないということをわれわれに思い出させる出来事となった」とさらに法王は続けている。

 「神との関係を望むのなら、人類はまず、神になりたいと思う高慢を捨てなければならない」と法王は語り、世界に約12億人いるローマカトリック教徒のリーダーとして6回目となる復活祭の訪れを祝福した。

 さらに法王はミサの後、コロンビアの平和を訴え、同国の紛争の犠牲者のために22日に行われる祈りへの参加を呼び掛けた。「コロンビアでの暴力はもうたくさんだ。コロンビアの人々が平和に暮らせる日がくるように」と法王は語っている。
聖週間の始まり

 「枝の主日」は復活祭の1週間前の日曜日にあたる移動祝日であり、キリスト教徒はこの日、キリストが古代世界の平和の象徴であるロバにまたがりエルサレムに入城したことを祝う。

 ミサでは、枝の主日から復活の主日までにキリストの身に起きた出来事が順序を追って語られた。またバチカン市国に通じるコンチリアツィオーネ大通りは、キリストの生涯の最後の出来事である「十字架の道行きの留」を表すオリーブの木とブロンズ像で飾られている。

 ローマ法王と世界中のキリスト教徒にとって、枝の主日は復活の主日まで続く大切な1週間の始まりだ。

 聖木曜日には、法王はバチカン法王庁で2つの伝統的な式典を執り行う。そのうちの1つでは、キリストが十字架に架けられる前夜に12人の弟子の足を洗ったという故事に基づき、謙虚さを示す行為として、法王が12人の足を洗い、キスを授けることになっている。

 さらに聖金曜日には、法王はバチカンで幾つかの式を執り行った後、ローマの古代遺跡コロッセオにおいて、十字架にはりつけにされたキリストをたいまつを掲げて悼む「十字架の道行き」を主宰する。

 バチカンでの聖週間の式典は、復活の主日に最高潮に達する。復活の主日は典礼暦における最も重要な1日であり、法王はこの日、全世界の信徒に向けて「Urbi et Orbi」と呼ばれる年2回の祝福メッセージを述べることになっている。

ITmedia ニュース 2011年04月19日 15時44分


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