みんなのキリスト教ニュース - 今週の本棚・新刊:『続・聖なる旅 キリスト教の新たな可能性を探る』=手束正昭・著

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 (キリスト新聞社・2940円)

 明治以来「和魂洋才」を目指した日本において、キリスト教は信仰そのものより西洋化のための知識やツールとして用いられてきた。キリスト教信者は現在でも人口の1%止まりと言われ、戦後急伸した韓国のキリスト教と比べられることが多い。

 著者はプロテスタントの牧師。信者数の伸び悩みは伝道する側の枠組みに問題があり「根本的な反省が必要」とする。本書は旅行記の体裁をとったキリスト教再生論である。

 中でも、その本領を発揮しているのが、「中国・景教の源流を辿(たど)る旅」である。エフェソス公会議(431年)で異端とされたネストリウス派が、「東まわりのキリスト教」として中国に伝えられ「景教」と呼ばれた史実について考えたもの。「パウル・ティリッヒのキリスト論」研究を媒介に、ネストリウス派を調べてきた著者の思索の跡が興味深い。

 西欧・米国経由の「西まわりのキリスト教」ではなく、東洋との接点、とりわけ日本人との親和性を提示しようという試みだ。その際、父・子・聖霊という三位一体の神概念のうちで、聖霊の働きに焦点をあててキリスト教の新たな可能性を探っており、示唆に富んでいる。(江)

毎日新聞 2012年05月13日 東京朝刊


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