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変わるカトリック教会。ブラジルではプロテスタントに対抗して現代マーケティング手法を導入
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4136 日 前
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カトリック教会のフランシスコ新法王が就任して4カ月が経過した。性的虐待問題やマネーロンダリングなどスキャンダルに揺れていたカトリック教会は、初の中南米生まれで、かつイエズス会出身という異例ずくしの人物を新法王に選出し、新しい体制を構築しようとしている(本誌記事「秘密主義なのになぜか漏れてくる新ローマ法王の得票数」参照)。
カトリック教徒は世界に12億人いるといわれているが、中南米の信者は全体の4割を占めている。このうちブラジルの信者数は1億2000万人に達するといわれ、1国としては最大の信者数となっている。欧州での信者数は減少していることを考えると、中南米出身の法王が選出されたことは自然の流れといってよい。
だが世界最大のカトリック国であるブラジルでも、実はカトリック信者の割合は急激に減少している。1980年には90%を超えていたカトリック信者の割合は現在では60%に低下した。その主な原因は福音派と呼ばれるプロテスタントの躍進である。
福音派はプロテスタントの保守派で、米国でも近年急速に勢力を伸ばしている。教義は保守的だが、信者獲得の手法は現代的だ。ロックやポップスのコンサートを開いたり、カリスマ的な牧師のDVDを販売するなど、現在的なマーケティング手法を駆使している。米国の音楽業界ではクリスチャン・シンガーという分野はひとつの大きなカテゴリーを形成しており、ビジネスとしても大きな存在だ。ブラジルの福音派も同様の手法を導入しており、各地で大規模なロック・コンサートを開催し、急激に信者数を伸ばしてきた。
カトリック教会も最近ではこうした手法を取り入れ始めており、ブラジルでは人気歌手のコンサートを企画したり、自ら歌う神父も登場している。マルセロ・ロッシ神父はその中でももっとも有名な神父のひとりで、神父のミサには1万人以上が詰めかけ会場に入れない人も出ているという。
フランシスコ法王もロッシ神父の活動を高く評価しており、今月法王がブラジルを訪問する際には、ロッシ神父が法王に歌を披露する予定だという。
こうした新しい試みは宗教の世俗化であり、教会の弱体化を示しているともいえる。キリスト教圏において無宗教を自認する人の割合も年々増加している。
一方、新しい手法や技術を駆使した教会の存在は逆に組織動員力を強めていると解釈することもでき、場合によっては大きな政治勢力となり得る。実際、米国の選挙では福音派の票はどの政治家も無視することができないレベルに達している。
これまで日本では、宗教の世界は特殊な分野と認識されており、あまり関心が払われてこなかった。だがグローバル化の進展によって他国の宗教活動が経済分野にも大きな影響を与えるようになりつつある。宗教をとりまく環境は急速に変化しつつあるのだ。
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