みんなのキリスト教ニュース - 世界文化遺産:「産業革命遺産」推薦決定 雪解け願う「産業革命」 しこり残る「長崎教会群」

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 世界文化遺産の2015年登録に向けた今年度の政府推薦1枠は、内閣官房推薦の「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」とする方針を政府は固めた。17日に正式発表される。文部科学省推薦の「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」は先送りとなる。産業革命遺産の登録を目指す関係自治体は喜びの表情だが、双方の遺産に関わりながら教会群を強く推した長崎県の関係者は「信じられない」。推薦争いで生じた自治体間や省庁の確執は本登録への不安材料にもなりそうだ。【大場伸也、山崎太郎】

 鹿児島県は2005年に「九州近代化産業遺産シンポジウム」を開き、登録への活動を始めた。08年には関係自治体で協議会を設立。この段階では「近代化産業遺産群」という名称だったが、その後に「産業革命遺産」に変更した。関係自治体は福岡、佐賀、長崎、熊本、鹿児島、山口など8県11市に上る。

 一方の教会群は昨年度の政府推薦枠を巡って「富岡製糸場」(群馬県)に敗れており、後発の産業革命遺産に先を越されたら「望みはなくなる」と、長崎県関係者の間で危機感が深まっていた。また、15年は潜伏キリシタンが長崎市の大浦天主堂で信仰を告白した「信徒発見」から150年の節目の年。「15年に登録を」という思いも強かった。

 産業革命遺産と教会群の戦いはし烈だった。長崎県は、内閣官房に4月に提出された産業革命遺産の推薦書に名を連ねたが、中村法道知事は提出直後の定例記者会見で「産業遺産の15年登録には反対」と明言。8月22日に文科省に提出した意見書には、産業革命遺産の長崎県内資産について「審査に耐えうる熟度に達していない」などと記した。

 産業革命遺産を推す側の自治体からは長崎県に反発するような行動も出た。9月4日に今年度推薦を求める要望書を官房長官に提出したが、事務局は長崎県・市に要望書連名を求める案内を送らなかった。

 今回の対立の背景には、政府内の主導権争いもあった。従来は事実上、文化庁が政府推薦を決めたが、昨年5月に稼働中の工場などを含む場合、内閣官房の有識者会議で推薦できるようになった。内閣官房は文科省所管の文化財保護法より規制が緩い港湾法や景観法での保全を計画。両省庁のさやあては激しくなり、これが「九州対立」につながった。

 産業革命遺産の関連自治体は喜びの声を上げたが、長崎県、長崎市の幹部は落胆の表情を見せた。

毎日新聞 2013年09月15日 西部朝刊


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