みんなのキリスト教ニュース - 100歳の英文学者に学会賞 : 東京23区 : 地域 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

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 英文学者で国際基督教大名誉教授の清水護さん(100)(小平市)が、今年度の日本キリスト教文学会・学会賞を受賞した。大学の卒業論文をはじめ、昨年まで手を加え続けた25本を収録した論文集が高い評価を受けた。27日に都内で祝賀会が開かれ、「後の人のためにやっておいた方がいい仕事は、まだたくさんある」と今後の研究にも意欲満々だ。(門間順平)

 1908年、戦前の台湾・台中市生まれ。実父は牧師で、5歳の時、やはりキリスト教信者で警察官だった男性の養子に。東京帝大で英文学を学び、卒業後は成蹊高・成蹊大で長く教べんをとった。戦後は米ハーバード大、英マンチェスター大への留学も経験。63年の英語教育協議会(ELEC)の創設にかかわり、後に理事長も務めた。

 戦時下、英語は「敵性語」とされたが、勤務先の成蹊学園が「リベラルな雰囲気だった」(清水さん)せいもあって意に介さなかった。学生たちと避難した疎開先の箱根で英語を教えた。一方、聖書研究者としては、空襲でヘブライ語の原典を失ったことが最もつらい思い出という。

 今回、受賞対象となったのは、昨年10月に刊行した「英訳聖書の語学・文学・文化的研究」(学術出版会)。聖書とシェークスピア作品の表現の共通点を指摘しているほか、旧約聖書に見る「再生の思想」を解説している。

 清水さんは、99歳で研究の集大成を刊行したことを「たまっていた仕事を片づけただけ」と照れ笑いする。長く現役を続けていることについては、「よく病弱で神経質に見られるが、終戦後に栄養失調で肺炎を患ったぐらい」と健康への自信を強調。「焦らない性格だったから、ここまでやってこられた」とも話す。

 27日に都内のホテルで開かれた祝賀会には教え子ら約50人が集まり、自ら題名を決めたという記念誌「回顧即感謝」を受け取った。

 「やりたい研究はたくさんあるが、全部やれるとは思わない。誰にでもやり残した仕事はある」と淡々とした様子の清水さん。「これだけでも成し遂げたことを感謝している」と控えめに喜びを話している。
(2008年10月28日 読売新聞)


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