みんなのキリスト教ニュース - 避難生活送る牧師 信者に東電社員/ルポ

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 東京電力福島第1原発からわずか5キロの位置にある教会の牧師が、信者とともに避難生活を続けている。福島第1聖書バプテスト教会の佐藤彰牧師(54)で、震災から2カ月目の11日は東京都新宿区の淀橋教会で「地震、津波、放射能の三重苦を越えて」というテーマで講演した。運営する4教会が同原発20キロ圏内の警戒区域に入り、2つは大熊町内で約5キロしか離れていない。10キロ地点の富岡町の自宅を含めて立ち入れない状況だ。「警戒区域になる前に教会に行ったら、中はメチャクチャ。震災があった3月11日は私の誕生日。その日のために牧師になったと、腹をくくっています」と話した。

 東京電力や協力企業の社員も信者として所属しているため、原発事故には複雑な思いがある。「社員やその家族の皆さんが我々に謝罪されましたけど、原発の職員の皆さんだって、被災しながらも、過酷な環境で働いている。我々が地元に帰れるように、頑張ってほしい」。神が与えた試練とも考えられるが「それは心の問題。乗り越えられる大きな出来事の1つと考えたい」と話した。

 震災当日は所用で千葉県に滞在。信者約200人の安否確認をしながら、小型バスを手配した。避難所に散らばった信者を訪ね、病人17人を含めた約60人と会津若松市の教会で共同生活を始めた。「何もない状態から避難していますから、飲食物や衣料など、救援物資は何でもありがたい。幸せのハードルが下がった。生きるために必要なものは少ないと分かった」。足りないものを探す生活をやめ、その日だけを精いっぱい生きれば、喜びを感じられるという。

 現在は東京都奥多摩町の教会が持つキャンプ場に滞在している。「苦しいけど、いつかは泥の中で花が咲く。これを乗り越えて、みんなで“震災卒業式”をやりましょう」と力を込めた。【柴田寛人】

ニッカンスポーツ 2011年5月12日8時27分


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